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Interview

インタビュー

食をつなぐ新しいコミュニティから復興を支える

小幡 広宣 Hironobu Kowata

株式会社広栄土木 代表取締役
一般社団法人そうま食べる通信 元代表理事・元共同編集長

2020.12.24

 
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Profile

福島県相馬市出身。震災後、周りの住宅が全て流されてしまい、原型をとどめない中、 海岸近くにあった自宅が住めないまでも原型をとどめている姿をみて、自分が先頭に立って活動しないといけないと思い、復興支援など様々な活動に取り組む。 建設業を営む傍ら、食べ物付きの情報誌「そうま食べる通信」の共同編集長として相馬の生産者の生き様や生産物へのこだわりを 2015年10月から2020年8月までの約5年間、全国に発信してきた。

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01

生産者と消費者を繋ぐコミュニティツール

「そうま食べる通信」は、食べ物付きの情報誌です。毎号1人の生産者にクローズアップし、その生産者の生き様や生産物への苦労や想いを冊子にまとめ、生産物と一緒に読者に届けます。 通常の通信販売は品物を届けるサービスですが、「そうま食べる通信」ではその後、SNSやイベントで生産者と消費者である読者が交流できるコミュニティツールになりました。 「食べる通信」というサービスは、2013年に岩手のNPO法人東北開墾さんが世界初の食べ物付き情報誌「東北食べる通信」を創刊したことをきっかけにして各地ではじまりました。 NPO法人東北開墾の代表理事の高橋さんが、震災の影響で疲弊した一次産業についての現状を消費者に知ってもらい、自分事として食べ物について考える機会をつくりたいという趣旨で創刊しました。 私たちが「そうま食べる通信」を創刊する頃には、すでに全国10団体がこの趣旨に賛同し各地で「食べる通信」をはじめていました。

02

相馬の一次産業を救いたい

津波で私の家は流され、仮設住宅生活を経験しました。建設業ということもあり、他の業種と比較すると仕事はたくさんありました。 そのため幸いにも私自身の生活は早くから安定していました。その一方で、農業や漁業など相馬の一次産業は風評被害を受け、ものは売れず、売れても安く買い叩かれる状況で元気を失っていました。 そのような状況を知り、福島第一原子力発電所事故から、相馬の基幹産業である一次産業の元気を取り戻す活動をしたいと常々思うようになりました。そんな中、福島第一原子力発電所事故から数年の間に、同じ志を持った仲間が他にもいることと「食べる通信」というサービスがあることを知りました。 そして仲間と一緒に自分たちで相馬の一次産業をなんとか元気にしようと決意し、「そうま食べる通信」を創刊することに至りました。

03

取材を通して相馬の魅力を再確認

一番の収穫は、県外の「そうま食べる通信」の読者の方々に相馬の一次産業の魅力を知っていただけたことです。 「相馬ってすごいところだったんだね」「素晴らしい生産者がいるんだね」「美味しい食べ物があるんだね」などたくさんの声をいただきました。 もう1つ収穫があるとすれば、私自身が取材を通して相馬の魅力に気づくことができたことです。

04

惜しまれながら最終号を迎える

読者の方々から「これからも発行を続けてほしい」「毎号楽しみにしていました」「相馬のローカルな雰囲気を感じるのが楽しみだった」というような 惜しむ声をたくさんいただきました。「そうま食べる通信」には、これだけたくさんのファンがいてくれたのだなと感じるような反響があったのは嬉しかったです。

05

ノウハウを生かし一次産業の問題解決を

今後チャレンジしてみたいことは3つあります。 1つ目は「そうま食べる通信」のノウハウを活かし、2020年10月にオープンした 「浜の駅松川浦」の支援をすることです。 実はすでに始めているのですが、「そうま食べる通信」の編集部だった仲間のうち3人がこの施設の立ち上げ段階から運営に関わっています。 2つ目は「そうま食べる通信」でつながった人のコミュニティをこのまま消滅させてしまうのではなく、なにかしらの形で存続させていくことです。 具体的なことはまだ決めていませんが、元「そうま食べる通信」の編集部の仲間とは、イベントやSNSを通じて読者の方たちとつながりを持ち続けていこうという意見でまとまっています。 3つ目は、今後起こるであろう生産者不足問題や、気候変動による一次産業への影響を解決していくことです。 自分自身が生産者になるのか、解決できる仕組みをつくるのか、まだはっきりしていませんがこの数年で何をするか決めようと考えています。 これまでも目の前の問題を解決するために活動してきました。また新たな問題が現れれば、その問題を解決するためにチャレンジしていきたいです。

06

復興をしたかは後世が決めること

正直なところ、私には復興したかどうか判断できていません。インフラは整備され、震災前よりもきれいで快適になっています。 しかし、これが復興なのかというと疑問が残ります。相馬市長の受け売りでありますが、「復興したかどうかは後世が検証すること」で、私達がすることではないと考えています。

07

大好きな相馬を10年後も誇れる場所に

1年先でも何が起きるか分からない時代ですし、10年後も何をしているかはわかりません。震災から現在までの10年間は、相馬の復旧作業に携わってきました。 理由は相馬が好きだからです。東日本大震災や令和元年東日本台風による水害や新型コロナウイルスの流行などのような、 その都度起こる問題に対して、相馬が存続するために私が貢献できることを見つけて10年後も行動していたいです。 そして自分たちの子ども世代が、福島で生まれ育ったことを誇りに思い、福島のために活動してもらえるような福島になっていてほしいです。そのための基盤づくりをしていきたいです。 「そうま食べる通信」の読者のように、福島を好きになってくれた首都圏の人たちの、第二の故郷のような場所になっていてほしいとも思います。

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