エネ百科のロゴ画像

Interview

インタビュー

放射線の知識を繋ぐ科学館から復興を支える

佐々木 清 Kiyoshi Sasaki

福島県環境創造センター 交流棟
コミュタン福島 教育ディレクター

2020.12.16

 
シェア

Profile

1956年生まれ。80年福島大学卒業後、2016年3月まで中学校理科教諭として勤務。主な活動に、河川環境調査および環境保全活動。福島第一原子力発電所事故後、内閣府原子力委員会に招聘されリスクコミュニケーションに関する議論に参加。 2016年7月下旬の開設から、福島県環境創造センター交流棟「コミュタン福島」の教育ディレクターとして、放射線教育等の体験研修のプログラム開発や教材製作に携わっている。

Movie

ムービー

バナーをクリックしてアンケートページへ →

01

生徒の疑問や悩みに寄り添った授業を

放射線についての専門的な知識を一方的に教えるのではなく、生徒自身がもつ放射線に関する疑問や悩みを引き出し、生徒が主体となって調べながら学んでいけるように指導を心がけました。 指導する内容については、あまり難しくせず、中学生が理解できる範囲で教えることを心がけました。生徒たちが放射線について学んだことを家族や周りの人に教えることで、多くの人に放射線に関する知識が拡散することを期待していたからです。 日本国民の理科のリテラシーは中学3年生までの知識と言われています。そのため、生徒が理解できる内容であれば、家族や周りの人も理解できるだろうと考えました。

02

保護者を巻き込んだ放射線教育

多くの生徒が放射線について関心をもっていて、学習意欲がありました。私が教員だった頃、夏休みと冬休みには『環境レポート』という宿題を出していました。福島第一原子力発電所事故当時、私は中学1年生を担当していました。 中学1年生にとって放射線というのは難しい知識だったので、調べてくる生徒は少ないだろうと予想していました。しかし、実際には6割近くの生徒が放射線についてレポートをまとめてきました。 ここまで生徒が一生懸命にレポートをまとめてきた理由の1つは、生徒だけでなく保護者も放射線に関心をもっていたからです。原発事故が起こるまで34年間、義務教育では放射線を取り扱っていません。 そのため、多くの保護者も放射線について知らない状態でした。この環境レポートをきっかけに生徒も保護者も放射線について学びたいのだと気が付きました。

03

放射線教育で目指す生徒の姿

放射線測定器を使って放射線量を自分で測定して、測定結果から安全かどうか判断できる子、自ら考えて行動できる子の育成を目指しました。災害が起こったとき、援助がくるまで数日かかります。 ただ援助を待つのではなく、しっかりと自分で判断して生き残る力を身に付けてもらいたいからです。

04

嬉しい意見やたくさんの相談が

福島県で初の放射線教育の公開授業を担当しました。授業の直前までは、生徒に放射線教育を行うことについて、反対する意見がたくさん出るのではないかと心配していました。 しかし、授業を終えると予想に反して「私も実は放射線教育をしてみたいのですが、どのようにしたらよいですか」というような相談がたくさん寄せられました。

05

環境全体を学べる施設

コミュタン福島は放射線をはじめ、再生可能エネルギーや自然環境など環境全体について学べる施設です。放射線について正しい知識を身に付けることで、放射線に関する疑問や不安を解消できると考えております。 現在行われている原子力に依存しない社会やエネルギー作りの取り組みについても学ぶことができます。

06

放射線の正しい知識を楽しく発信

教育ディレクターとしての業務は、放射線教育プログラム作りです。特に知識を得ることよりも体験することや実験することを重視してプログラムを作っています。 平日は主に小学5年生が授業の一環で来館しますので、子供たちが見学する順路と、実験の内容を決めました。 休日は一般の方も来館しますので、放射線に限らず、科学工作体験やサイエンスショーの内容を決めました。現在はニーズが広がり、中学校や高等学校、教職員向けのプログラムを作っています。

07

放射線教育と再生可能エネルギー学習の拠点に

コミュタン福島の使命は、多くの方に放射線について、正しく知っていただくことだと考えております。時間とともに、福島第一原子力発電所事故は忘れ去られてしまいます。 放射線教育の拠点であるとともに、原子力に依存しない安全な再生可能エネルギーの学習の拠点として、活躍していくことが使命だと考えております。

08

これまでの知識を繋ぐ場所へ

これまで福島県は様々な方に支えられてきたおかげで震災から立ち直ることが出来たと思います。 これからの10年間は、その恩に報いるべきだと思います。 災害を経験したからこそ分かる災害対応のノウハウなどを伝達することや、 ここまで復興できたことをどんどん発信していくべきだと思います。 最近では震災当時小学生だった高校生たちが、震災の体験を発信してくれています。嬉しいですね。 教員の経験から感じることは、小学校で学んだこと、中学校で学んだこと、高校で学んだことと、 知識が断片的でバラバラであることが気になっていました。そこで、その断片的な知識を繋ぐことが科学館の 使命ではないかと考えています。私はこれから、コミュタン福島で、 子どもから大人の方まで放射線について、それぞれ学んだ知識を繋げる場所にしていきたいです。

バナーをクリックしてアンケートページへ →

Other

関連記事

食をつなぐ新しいコミュニティから復興を支える

小幡 広宣
Hironobu Kowata

漁業の魅力を伝える市場から復興を支える

常世田 隆
Takashi Tokoyoda

一次産業と地方創生から復興を支える

松﨑 健太郎
Kentarou Matsuzaki

スペシャル対談 ~前編~

廃炉・汚染水対策の現地から復興を支える

木野 正登
Masato Kino

スペシャル対談 ~後編~

廃炉・汚染水対策の現地から復興を支える

木野 正登
Masato Kino

システム構築とデータ分析から復興を支える

長井 英之
Hideyuki Nagai

地域コーディネーターの立場から復興を支える

押田 一秀
Kazuhide Oshida