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掲載日:2023.5.10

2023年3月に東京理科大学 高嶋隆太教授の研究室の学生5名が、柏崎刈羽原子力発電所を視察しました。

原子力発電所の視察後は、高嶋教授のコーディネートのもと、柏崎市で会社を経営する小林英介さんと「原子力発電」をテーマにディスカッションしました。その様子をご紹介します。


 柏崎刈羽原子力発電所を視察した感想 
“ 着々と準備を進められていると感じた ”

再稼働に向けて着々と準備が進められていると感じた。毎日、5000人の人が出入りしていると知って驚いた。それだけの人が関わっていて、たくさんの安全対策をしているということを知らなかった。こうした情報に触れる機会は、視察がなければないと思う。これだけの安全対策をしていることを国民へ知らせることで納得してくれる人も増えるかもしれないと感じた。もっとYouTubeなどで、情報をアピールしてほしい。


“ 多くの人が関わっていて驚いた ”

多くの人が関わっていることに驚いた。全国の方々に広めていけば、安全性の評価につながるかもしれないと思った。


“ 安全面の対策が二重も三重にもあった ”

発電所の規模がすごく大きいと感じた。安全面の対策が自分が想像していたよりもずっと多く、二重も三重にもあった。国民が安心してもらえるような対策をしていた。


“ 想像よりも厳重だった ”

数字上では原子力発電所の対応など、数字で実感することはあったが、自分にとっては身近でなかった。私もなんとなく原子力発電は悪いものだくらいの印象しかなかった。視察した発電所は、想像よりも厳重だった。非常に貴重な経験になった。




 「原子力発電」をテーマにしたディスカッション  
Q.原子力発電所は再稼働するべきでしょうか

“ 地球温暖化対策やエネルギー自給率向上のために必要 ”

原子力発電は、福島の事故の影響で国民に大きなインパクトを与えており、よい印象はなかった。しかし、昨今の地球温暖化対策や、エネルギー自給率を上げるという観点からみて、再稼働は必要ではないかと思う。


“ 日本には化石燃料がほとんどない ”

エネルギー自給率を上げるために、原子力発電は再稼働するべきだと思う。日本は化石燃料がほとんどない国。原子力発電はエネルギーの効率がよいと思う。震災の時のことを考えると、危険という印象は強くあるが、発電所を視察して安全対策をしていることがよくわかった。


“ 社会に受け入れられれば再稼働 ”

社会的受容性があれば再稼働すべきだと思う。そうでないなら再稼働はせず、代替する技術を使ってエネルギーミックスを考える必要があると思う。


“ 原子力は効率的なエネルギー ”

再稼働すべきだと思う。化石燃料は枯渇する可能性があるので、火力発電はいつか使えなくなるだろうと言われている。 最終的には再生可能エネルギーと原子力が主力になると思う。いま生きている人間は火力発電を利用できるので、原子力のリスクよりも安全性を求めて火力発電を利用したいのだと思う。後世のために、原子力を利用できるとよい。また、原子力発電所の建設や再稼働にはNimby問題や放射性廃棄物の問題がある。これらの問題を解決できれば、原子力はもっとも効率的なエネルギーだと思う。


“ 再稼働すべきだが、将来は減らす必要がある ”

原子力発電は、今 再稼働すべきだと思うが、これから減らしていくとよいと思う。今日視察して、安全に気を付けているということはよくわかった。それでも、人間のミスは起こるものだと思う。日本ではなくとも、どこかでまた事故は起きると思う。放射性廃棄物の問題は長く続くもの。私たちの世代以外にも影響があるものを増やしていくのはよくないのではないかと思う。


学生から小林さんへ質問
Q. 原子力発電所ができてから、柏崎市に移り住んでくる人もいると思います。
 柏崎の人はそういった方と原子力発電に関する話はしますか?

A. そもそも、柏崎の人は生活の中で原子力発電所の話はしません。私たちのように、原子力発電に関わりのある人間は「最近の東京電力はよくないね」とか「国のエネルギー問題はこうだよね」とか議論する人もいますが、普通の人たちは、賛成の人もいれば、反対の人もいます。
そのなかでみんな生活しています。原子力に対して、賛成だとか反対だとかいう闘争を持ち込むのは、マスコミといった柏崎の外にいる人たち(報道など)によるケースが多いと思います。


小林さんコメント

東京電力は、福島の事故の責任を問われて、ものすごいバッシングを受けました。通常のビジネスであれば、損得を考えて、原子力発電はやめればいいということになる。でも、電力の安定供給を含めたS+3Eやベストミックスを達成するために原子力で発電しなければならないという使命を持っていると思う。その使命に対して、私たちも支えていきたいと思っている。柏崎という電源立地地域を視察していただいたことで、そういった地域があることを知っていただけたと思う。
ぜひ、みなさんが東京に戻ったら、家族や友人に「こんな街だったよ」とお話していただければ嬉しいです。


高嶋先生の総括

原子力発電の賛成反対について、答えをひとつに決めるのではなく、お互いに話せる場を設けることが重要だと思います。今回の意見交換会も同じで、柏崎市に来て、発電所を視察して、小林さんとお話しして、学生の皆さんは意見がガラッと変わる部分もあったと思います。
原子力については、色々な人と議論を重ねて、お互いの理解を深めることで、はじめてエネルギー政策の方向性が決まっていくのではないでしょうか。




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