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【お仕事コラム】ミライを切り拓く!原子力のお仕事インタビュー 第13回

掲載日:2025.12.**

お仕事コラムとは?

中高生の方々に向けて、原子力や放射線に関連する業界やお仕事について、より深い興味・関心・理解を得られるような情報を提供することを目的とした、お仕事紹介インタビューです!



第13回のインタビューは「一般財団法人 日本原子力文化財団(JAERO)の藤代彩さん!」



お仕事紹介(何のお仕事をしているの?)

日本原子力文化財団で、これまでに3つの部署を異動しており、現在は総務部という部署で働いています。総務部の役割は、会社運営をスムーズにすることと、社員が気持ちよく働けるよう労働環境を整備することです。 私は主に財団で働く職員の労務管理や、働く上での基本的なルールの策定、システム等の入れ替え、職員が使用するPCやネットワーク等の管理をしています。
総務部に異動する前は企画部に所属し、主に女性層や子ども向けの冊子やWEBコンテンツの制作を担当していました。情報収集したことやインタビューした内容をまとめたりすること等がメインの「目に見える作品」を作り出すお仕事ですね。
制作の仕事で難しさを感じたのは、伝えたいことと、皆が知りたいことのバランスをどう取るかでした。伝えたいことは山ほどあるのですが、それは皆が知りたいことと必ずしもイコールではありません。放射線影響や原子力防災に関する冊子を制作した当時、偶然自分が妊娠、出産を経た時期だった事もあり、プライベートでお子さんを持つお母さん方と話して痛感したのは、本当に知りたいことが書かれていないと、手にも取られないし、伝えたいことも全く伝わらないのだ、ということでした。その経験から、自分なら何を不安に思い、知りたいかを意識して、コンテンツ作りをするようになりましたね。



藤代さんが手がけた制作物の数々


異動してから、これまでどのような変化や苦労がありましたか?

デジタル関係に全く知識がない状態で現在の総務部に異動したのが、コロナ禍の2020年でした。当時、財団ではテレワーク制度が現在ほど定着しておらず、仕事をする上で必要なテレワーク用のモバイルPCが数台しかない上に、事務所では半数がデスクトップPCを使用している状態。とは言え、緊急事態宣言下で、出勤もできない状態でしたから、私たち総務部からテレワークを推奨せざるをえない状態でした。
世界的にパソコンが不足している状態でPCを確保し、テレワークをスムーズにできる体制を整備するのに大変な思いをしたことを覚えています。通信機器やネットワークが整備できなければ、会社全体の業務が滞るわけですから、とにかく必死でしたね。システム会社の方に幾度となく質問をし、レクチャーを受け、という繰り返しの毎日でしたが、諦めずに付き合ってくれた担当の方や、これまでとは違う働き方に協力してくれた職員には感謝しかありません。
職員が何事もなく一日業務にあたれる状態を整えるのが総務部の仕事です。何ら問い合わせがなかった日は安心して帰れます(笑)。 最近では、国の法律上、紙で保存していたものを電子データへ切り替える必要があるので、業務をできるだけデジタル化すべく、情報収集や業者の方との折衝、システム導入等を検討することが多くなりました。まだまだ未熟で、多方面から教えてもらうことばかりですが、職員の仕事の根幹部分を担う業務に携われていることにやりがいを感じています。企画部時代に経験した「目に見える」ものを作り出す仕事から、今は「目に見えない」仕事に携わるようになり、どちらの仕事も大切であることを噛みしめています。



学生時代は何をされていましたか?

現在の仕事とはほとんど関係ないのですが、史学科で古代史を専攻していました。子どもの頃から歴史や遺跡等が好きで、大きくなったら考古学者になると思っていたぐらいでした。教科書や資料集等を含め、ひたすら本を読むのが好きでしたね。資料集に載っている文化財が見たくて、奉納されている神社に連れていってもらうこともしばしばでした。



どのようなきっかけで原子力に興味をもつようになったのでしょうか?

就職するか、大学院へ進学するか進路について考え始めた頃、たまたま大学の友人から誘われて、当時この財団が運営していた情報館でアルバイトをすることになりました。週末に行われる親子向けの実験教室の補助が仕事でしたが、化学分野の実験が楽しくて。大学は文系の学部を選択しましたが、中高生時代は実験も好きだったので、純粋にわくわくしながらアルバイトしたことを覚えています。
考古学や史学から原子力業界?と思うかもしれませんが、この時に新たな気づきがありました。情報館に展示しているパネルの中に、文化財に放射線を当てて、壊さずに中に入っていたものを突き止めた、という内容を紹介したものがあったんです。まさに放射線の利用によって文化財の考古学的な価値が見いだされた例ですよね。
全く関係ないと思っていた物理学と考古学の世界が、原子力をきっかけに結びつき、そこに興味を持ったことが、この財団で働くことになったきっかけです。この出会いがなければ、大学に残って研究を続けていたのではないかと思います。



仕事に対して、どのように考えていますか?また、心がけていることはありますか?

何でも苦手なことから目を背けないで向き合うこと。当財団に入った当初、人前で話すのが得意ではありませんでしたが、発電所見学のバスツアーの中で初対面の方に向けて1人で資料説明をするという体験をして、かなり鍛えられました。今でも説明が苦手なことは変わりませんが、あの経験は自分自身が仕事をしていく上での自信になりました。苦手なものに向き合ってこそ、忍耐強さやしなやかさが身につきますし、何よりやり遂げた時の達成感が大きい。これは、業界や分野に関わらず、大切なことだと感じています。
また、苦手な人の視点はとても重要です。コロナ禍でデジタル化が進み、「誰でも使いやすい」製品が増えてきましたが、やはりいいと思う製品は苦手な人の視点からきちんと考えられて工夫されているものが多いように感じます。
私自身、元々アナログ派の人間ですが、業務ではデジタル化による業務効率化等を進める立場にいます。自宅では敢えて家族とアナログな手書きツールでやり取りしていますが、このバランスも私は面白いと感じており、これからも情報収集と試行錯誤の毎日です。


講座で司会として当財団のコンテンツを案内する藤代さん


学生時代に学んでおくべきことはありますか?

社会に出ると、どうしても実務的な資格や知識を必要に迫られて習得することが多いですが、本来学びは楽しむもの。純粋に学びに時間を取れる学生の間こそ、切り捨てられがちな教養関連の授業も積極的に受けてほしいと思います。思わぬところで、あなたの人生を豊かにしてくれるヒントに出会えるかもしれません。引き出しが多いほど、様々な視点で物事をとらえられるようになりますよ。



最後に学生さんにメッセージをお願いします。

なりたいものや目標がはっきりしていて、具体的にその目標に向かって努力している同級生は、自分と比較して、キラキラ輝いて見えませんか? まだこれと言って目標が定まらない自分は劣っているのではないか、と思っている方がいるかもしれません。でも目標や夢に出会うタイミングは人それぞれ、そして、長い人生の中で当初の夢が全くぶれない人はそういません。キラキラして見える人も、挫折を感じたり波風ある中で努力を続けていると思うと、少し救われる気持ちがしませんか。社会に出ても葛藤の連続です。私が皆さんぐらいの年の頃、大人は子どもほど悩まない(大成している)と思っていましたが、そんなことはありません(笑)。結局毎日笑い、悩み、奮闘しています。 「いつか」ではなく「今」を大切に、自分と向き合って毎日を過ごしてください。



(今回のインタビューのまとめ)
編集の人間も常日頃から大変お世話になっており、頭が上がらない藤代さん。
藤代さんが仰った「職員が何事もなく一日業務にあたれる状態を整えるのが総務部の仕事」という言葉から、
縁の下の力持ちとして組織を支えることへの誇りが感じられるインタビュー内容でした。
ちなみに、最近の注目コンテンツは「図面集の擬人化」で、推しキャラは「おうよう子ちゃん」、「ダントツでおおいくん」だそうです。
是非皆さんも一度チェックされてみてはいかがでしょうか?皆さんだけの推しキャラも見つかるかもしれませんよ!!




文・編集/日本原子力文化財団 企画部



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