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2050年の “アレ” 達成に向けて ~鳥谷敬さんと考えるSDGsとエネルギー~

掲載日:2024.3.27

2023年11月28日に近畿大学 社会連携推進センターとタイアップして 「SDGsとエネルギーについて学ぶセミナー」を開催しました。元阪神タイガースの鳥谷敬さんをお招きし、第一部のトークショーでは、阪神タイガース”ARE”の裏側などについてお話を伺いました。第二部のトークセッションでは、日本エネルギー経済研究所の村上先生を交え、2050年の達成目標 “アレ=カーボンニュートラル” の実現に向けてどうすべきか、鳥谷さんと一緒に考えました。200名超が参加した大盛況のセミナーの様子をレポートにまとめました。


第一部:鳥谷敬さん トークショー

1939試合連続出場の秘訣。自らを知る・気づくことが重要

ミスをした時の自分の心境、周りの状況、体のメンテナンスや食事を含めて、その時々に合わせて自分に合ったものを知ることが重要。22歳からプロ野球選手を始めて、30歳、35歳とずっと同じではなく、常に変化がありました。この変化に気づけたことが、良いパフォーマンスを続けられ、試合に出続けられた理由ではないかと思います。

「好き」だけじゃ続けられない

正直、野球よりサッカーの方が好きなんです(笑)。本来であれば、「好きな事=得意な事」だと一番良いと思うのですが、サッカーよりも野球の方が得意だったんで、プロに入った時に完全に仕事と割り切ってやっていました。「好き」でやっているプロ野球も、何か嫌なことがあったりすればモチベーションが下がってしまう。仕事として割り切っている方が意外と長く続いている選手が多い。一概にどちらが良いとは言えませんが、どちらに自分が合っているか知っておいた方が良いかもしれないですね。

「レッドバードプロジェクト」とSDGs

東南アジアの貧困層に履かなくなった靴を届ける活動をしています。特に、フィリピンにはスモーキー・マウンテンと呼ばれる場所があり、この地域の子どもたちは上半身は裸、靴もサンダルも履いていない子が多い。その子どもたちの死因で一番多いのは「足」からの感染症。子どもはすぐ足が大きくなって靴が履けなくなるので、日本で履かなくなった靴を海外へ持っていき、配る「レッドバードプロジェクト」を進めています。



<参加者の主な感想>

・仕事を見つける1つの物差しとして、自分の得意なことを探すということは参考になりました。

・成功するためのメンタルの持ち方やモチベーションの保ち方を教えていただいて、とても良い経験になりました。

・プロ野球の世界でずっと一流として戦ってきた鳥谷さんのメンタルマインドのお話を聞けて貴重な経験になりました。

・緊張する大事な場面では、気持ちよりもやるべきことだけに集中することができると、失敗しても次につながると聞いて心を打たれました。

・どんな環境に置かれても、その選択を正解にしていくという話は一生心にとどめておこうと思いました。




第二部 第二部 トークセッション「SDGsとエネルギー」 鳥谷敬さん × 村上朋子先生

エネルギーをみんなに そして●●に

「●●」に入るのは「クリーン」です。これは、SDGsで掲げられる7番の目標で、「世界中のすべての人に持続可能なエネルギーを確保する」という意味です。では、その持続可能なクリーンなエネルギーとはどのようなものでしょうか。それは、二酸化炭素を排出しないエネルギーです。しかし、私たちが生活する中で、二酸化炭素の排出を完全にゼロにすることはできません。日本ではこの二酸化炭素、カーボンを実質ゼロ、つまりニュートラルな状態にするということが考えられています。これが本日のセミナータイトルになっている2050年の “アレ”こと“カーボンニュートラル”という目標になります。


カーボンニュートラルは達成できるのか

カーボンニュートラルは、達成できるといいなと目標に掲げているものではなく、やらなければいけないと日本政府が決めて掲げているものです。
では、どのように達成しようとしていけばよいでしょうか。日本ではグリーン成長戦略という政策の中で14分野で技術開発を行い、温室効果ガスの排出を抑えようとしています。この中には、本日のテーマにもなっている「エネルギー」も含まれており、再生可能エネルギー、水素・アンモニア、そして「原子力」も入っています。


エネルギー資源が乏しい日本

日本は島国のため、国境をまたぐ送電線がありません。また、石油や天然ガスといった化石燃料もほとんど採れません。そのため、エネルギーの供給に課題があります。もし、中東で紛争が起き、日本に化石燃料を持ってくるための海路が封鎖されてしまった場合など、最悪の事態を常に想定し、対策する必要があります。
エネルギー資源の輸入を特定の地域に頼るのではなく、世界中に調達先を分散させたり、国内で供給ができる水素やアンモニアなどのクリーンでできるだけ安価な資源を開発することが重要となります。


脱炭素政策と原子力発電

カーボンニュートラルに向けた技術開発は、様々な分野で行われています。その一つに「CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)」というものがあります。これは発電所などから排出された二酸化炭素をほかの気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入して、地球温暖化を防ぐ技術です。二酸化炭素を排出する電源としては、火力発電が挙げられますが、すぐに火力発電をゼロにすることはできません。その他の電源とともにバランス良く活用し、できるだけ二酸化炭素を出さないようにすることが重要です。二酸化炭素を発電時に排出しない発電方法の一つに原子力発電があります。原子力発電は、脱炭素電源でありながら、少量の燃料で莫大なエネルギーを生み出すことができます。関西電力の管轄では、東日本大震災以降に定められた新規制基準を満たした7基の原子力発電所が福井県で稼働中です。

SDGsの達成に向けて

SDGs達成に向けて環境面のみに配慮して、石油・石炭を使わないとすると、私たちが日常生活で使っている飛行機・自動車に乗れなくなりますし、皆さんが着ている服にも石油製品が使われているので衣服にも困ってしまいます。どれか1つの目標の達成に偏ってしまうと、どこかでマイナスの影響が出てきてしまいます。SDGsを達成するためには、どの目標にもバランスよく取り組む必要があります。そこがSDGsの難しいところだと考えていますし、本日参加した皆さんに気付いてほしい点です。


<参加者の主な感想>

・SDGsの達成に向けて、他のものを犠牲にしないための工夫が必要だということを知りました。

・SDGs達成に自分たちが大きく貢献できることは少ないかもしれませんが、知ることが大切であると思いました。

・話をずっと聞いているよりも、クイズ形式など、工夫がされていて面白かったです。

・カーボンニュートラルという単語は、今まで聞いたことはありましたが、内容を理解していなかったので、内容を理解することができてよかったです。

・原子力の最終処分に関することも聞いてみたかったので、時間が足りなくて残念だった。

・日本のエネルギー自給率の低さに驚きました。

・エネルギーを生み出す発電方法にはメリットデメリットがあることがわかりました。

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