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「最高峰を目指して見えてきたもの」~エベレストで感じた地球温暖化~

2021年12月11日に松山大学文京キャンパスにおいて、エネルギー・環境に関するセミナーを開催しました。 セミナーには、松山大学の学生を中心に約130名の参加がありました。当日の様子をレポートにまとめました。
第一部 「最高峰を目指して見えてきたもの」~エベレストで感じた地球温暖化

野口 健 氏(アルピニスト)

雪崩が年々増えている

ヒマラヤに行って、一番怖いのは雪崩。滑落対策は気をつければある程度はできる。しかし、雪崩は津波と同じで、根こそぎ流されてしまい、キャンプ地、ベースキャンプが全滅してしまうこともある。僕も雪崩を何度か経験したことがある。走っても逃げられない。クレバスもあるので、走ると余計に危険。埋まるときの体勢をつくって、耐えるしかない。以前、エベレストで雪崩があって、僕も埋まってしまった。クレバスが目の前にあって、重い雪が落ちたおかげで、表面の軽い雪だけを被って助かった。雪崩は本当に怖い。こうした雪崩は年々増えている。


温暖化の影響はエベレストでも

日本の四季と異なり、ネパールやチベットは雨期と乾期に分かれている。僕の体感だが、ある時から乾期と雨期があいまいになった。僕らは乾期に登山に行っている。数年前、9月の中旬から10月にかけて行って、本当は雨期が終わっている時期なのに、ずっと雨が 降っていた。10数年前に、エベレストのベースキャンプにハエが飛んできた。5300メートルのエベレストにハエがいるというのは、当時の感覚ではありえないことで、大騒ぎになった。でも、今は普通にハエが飛んでいるし、話題にもならない。エベレストでも地球温暖化を実感する。



参加者の感想

・野口さんの実体験を元に話されていて説得力があって、環境問題にも目を向けてみようと思った。
・遠い国や場所で、自分たちの知らない実感がない場所の話をわかりやすく、楽しく話していただいた。
・雪崩などの衝撃的なことや、温暖化によっての被害など、日常的には聞かない話が聞けて自分の中の世界が広がった。


第二部 トークセッション「2050年カーボンニュートラルを達成するためのポイント」

野口健氏 × 佐々木雅人氏(経済産業省 資源エネルギー庁 資源エネルギー政策統括調整官) × やのひろみ氏

カーボンニュートラルってなに?

カーボンニュートラルとは、人間が生活をして排出する温室効果ガスの量を全体としてゼロにすること。日本は2050年の段階で実現することを目指しています。排出量をゼロにすることが難しい分野も多くあるので、削減できない温室効果ガスの分は、植林による吸収などで補います。



エネルギーは組み合わせが大切

エネルギー源は、一長一短で、全ての面で完璧なエネルギーは現時点ではありません。カーボンニュートラルを達成するためには、火力や再生可能エネルギー、原子力など、あらゆる選択肢を追求して目標に向けて努力する必要があります。一つのエネルギーだけで達成することはできません。原子力は、信頼回復が課題ですが、安定的かつ安価で環境適合に優れています。


2050年カーボンニュートラルを達成するには

2050年カーボンニュートラルは、非常に難しい目標です。2050年までおおよそ30年ありますが、今から努力しなければ、カーボンニュートラルは達成できません。30年前からすれば、現在はとても想像できないような未来になっています。あらゆる努力を続けて、すべての選択肢を残しておく。選択肢をそれぞれ磨いておくことが重要です。実現へのハードルを越えるためにも、産業界、消費者、政府など国民各層が総力を挙げた取り組みが必要です。



参加者の感想
・カーボンニュートラルについて何も知らなかったのですが、わかりやすい説明でよくわかりました。
・将来どのような政策を立ててやっていくのか、実際に聞いてみないとわからない難しい内容なので、わかりやすく聞くことができました。
・エネルギー問題について、詳細についてはよく知らなかったので、とても勉強になりました。



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