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日本は、温室効果ガスの削減目標を守れるの?


ニュースがわかるトピックス

2016年2月12日


地球温暖化の防止をめざし、各国は2020年以降の温室効果ガス排出量の削減について約束草案を策定しています。たとえば、「日本は、2030年に2013年比で26%減」、「アメリカは、2025年に2005年比で26~28%減」、「EUは、2030年に1990年比で40%減」という数字が出されています。それぞれ異なる基準年を設けているため、そのままでは比較ができないので、基準年ごとに比較ができるようにまとめられたものが、下の表です。これを見ると、日本の削減目標は欧米に遜色のないものとなっていることが分かります。


日本が、この目標を達成するうえでカギとなるのは、発電時に二酸化炭素を排出しない太陽光や風力などの再生可能エネルギーと原子力の活用です。2015年7月に決定した「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)」では、2030年度には再生可能エネルギーで22~24%、原子力で22~20%の発電をまかなうとされています。では、この目標達成にはどのような課題があるのでしょうか。


再生可能エネルギー22~24%のうち約9%が水力で、水力の発電電力量は2013年度よりわずかに増える程度です。これに対し、太陽光は約7倍、風力は約4倍に発電電力量を増やす想定で、 “電力コストを現状より低減する範囲で最大限の導入を図る”としています。


なぜなら、再生可能エネルギーの導入のためには固定価格買取制度に基づく買取費用がかかるためです。制度の開始後、すでに3年間で賦課金は約1.3兆円、一家庭あたりの月額で約474円に達し、これからも増加していく見通しです。国民の負担を抑えながら、どれだけ導入できるかが今後の課題となります。


一方、原子力について見てみると、全国に既設の原子炉は43基ありますが、2016年1月末時点で再稼働しているものは3基にとどまります。また、原子力発電所の運転期間は原則40年と決められているため、仮にすべての原子炉が再稼働しても、運転期間を40年とすれば、エネルギーミックスの目標年次となっている2030年度には20基ほどに減ることになります。運転期間は、原子力規制委員会の認可を受けた場合には、1回に限って最長20年まで延長できますので、22~20%という目標の達成には、今後の再稼働と運転期間の延長が重要な課題となります。



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