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【お仕事コラム】ミライを切り拓く!原子力のお仕事インタビュー

掲載日:2024.3.14

お仕事コラムとは?

中高生の方々に向けて、原子力や放射線に関連する業界やお仕事について、より深い興味・関心・理解を得られるような情報を提供することを目的とした、お仕事紹介インタビューです!


第3回のインタビューは「三菱重工業株式会社の笠原妃奈さんと家入大周さん!!」


画像左:笠原妃奈さん、画像右:家入大周さん


お仕事紹介(何のお仕事をされていますか?)

三菱重工で働く人たちは発電プラント¹ 、航空・宇宙機器、船舶、環境装置、産業用機械など幅広い事業で活躍しています。原子力事業もその一つで、原子力発電プラントの建設を通じ、みなさんの暮らしを支えています。


〈画像クリックでHPに移動します〉


原子力発電は、ウランの核分裂時に発生する熱エネルギーを利用し、二酸化炭素を排出せず、安定的に大量の電気の供給が可能です。世界的な課題である、地球環境保護や脱炭素社会(カーボンニュートラル)への実現に重要な存在です。それだけではなく、石油をはじめとした、エネルギー資源が少ない日本では、燃料であるウランの再利用が可能な点でも、特に重要な発電方法の一つです。その一方で放射線の慎重な管理が必要となりますが、日本の原子力発電所の安全対策基準は世界一の厳しさと言われています。


笠原さん:私は、万が一、発電所内の機器の故障や、地震や津波、航空機衝突などが起きた場合でも、放射性物質が外に漏れないように閉じ込める原子力発電所の設備等の設計をしています。また、その設計に対し、検討・シミュレーションをして、安全性にどのくらい有効かを確かめるという仕事をしています。



家入さん:私は原子力発電プラントの原子炉容器の内部にある機器の設計をしています。原子炉容器の中には燃料があるため放射線量が高く、運転中は高圧・高温状態になります。そのような環境でも機器それぞれが与えられた役割のとおり働けるように設計することが私の仕事です。もう一つ、現在動いている原子力発電所がこの先も安全に運転できるのか、原子炉容器の内部にある機器、それぞれの仕組みがきちんと働くかを評価する仕事もしています。




どうして三菱重工業株式会社で働こうと思われましたか?

笠原さん:小学生のころ、環境問題をテーマにした自由研究を行ったことで、気候変動やエネルギー問題に関心を持つようになりました。
原子力を安全に利用できれば、気候変動やエネルギー問題の解決に役立てると考えたことが一つ目の理由です。もう一つの理由は、大学での研究にあります。「原子核」に関する研究を行う中で、原子力関連の仕事に興味を持つようになりました。
また、私は一人で物事に取り組むよりも、多くの人と協力しながら何かを成していくことに喜びを感じるタイプです。さまざまな人が携わる原子力関連のお仕事は、そういった意味でも自分に合っていると感じました。

家入さん:私は、アニメ「機動戦士ガンダム」の影響が大きいです。乗り物や建物などには幼少期から興味を持っていましたし、実は、ガンダムのエネルギー源は原子力なんです。少し子どもっぽい理由ですが、ガンダムのような大きな物を高速で動かせる原子力というものにかっこよさも感じていたと思います。
また、中学生のころから「将来は新聞に載るような仕事に携わりたい」「世の中に影響を与えるようなことをしてみたい」という思いがあったことも、この仕事を選択した理由の一つです。


やりがいを感じるのはどんな時ですか?

笠原さん:原子力プラントの安全を技術的に支える仕事は、気候変動やエネルギー問題の解決に貢献できると考えています。個人的に興味のある課題に携われていること自体に意義ややりがいを感じていますね。 当社の仕事はスケールが大きいことも魅力です。国や電力会社、その他のメーカーとも関わり合いながら業務を進めていく、多くの人が関わるプロジェクトの一員として働くことにもやりがいを感じています。

家入さん:笠原さんと同じく、スケールの大きな仕事に携われることにやりがいを感じています。原子力発電所の機器は規模が大きく、エネルギー問題の課題解決に取り組めますし、関わる人数も多いです。
このような仕事において、自分の行動で一つずつ前に進んでいく、その手ごたえを感じたときにやりがいを感じますね。


原子力に関して、個人的に興味のあることやワクワクすることはありますか?

笠原さん:個人的には、エネルギー問題の解決を大きく前進させるといわれる「核融合発電」に興味があります。学生のときに、原子力発電とは何かを調べていると、核融合発電というものを見つけて。
「太陽と同じ核融合反応で発電する」という技術は、高校生のときに興味を持っていた宇宙ともつながる部分が多くあり、とても魅力的だと感じています。

家入さん:規模の大きな物が好きなので、新しい原子力発電プラントの開発に自分が携わって、それが完成したときにはどのような気持ちになるんだろうと考えるととてもワクワクします。「誰かが作ったもの」ではなく、「自分が作ったもの」を目の当たりにした時に、大きな達成感が得られるんだろうな、と。


今のお仕事に就いていなかったら、どんなことをしていたでしょうか?

笠原さん:幼少期から興味のあった、エネルギー問題や気候変動に関する仕事をしていたと思います。再生可能エネルギー関連や、気候変動に関する社会的な取り組みをして、発信をしていくといった仕事を選択していたと思います。



家入さん:規模の大きな物や最新のテクノロジー、未知のエネルギーに関連した仕事をしたいと考えていたので、最新のテクノロジーに触れられるシンクタンクなどの研究機関で調査や研究をしていたのではないでしょうか。


最後に学生さんにメッセージをお願いします。

笠原さん:高校生の頃、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のイベントに参加したことをきっかけに、宇宙に興味を持ち、将来の展望を描くようになりました。
ところが、大学のオープンキャンパスで見学した研究室の規模や研究内容、研究している学生の方がとても魅力的で、その研究室に所属するために理学部物理学科に入学し、大学院で原子核の研究を行うようになりました。大学入学前に興味を持っていた宇宙関連とは違う道に進みましたが、幼少期から関心がある分野で、やりがいのある仕事に就けています。
ただ、原子力関連のお仕事を選択しようと考えたのが就職活動を始める少し前だったこともあり、いまの道に進むのなら工学系の勉強ももっとしておけばよかったと思います。

家入さん:子どものころから数学が好きで、得意だったことから漠然と理系に進みたいと考えていました。大学では工学部に入り、2回生のときの学科選択で原子核を学ぶ学科を選択しています。
工学部で学んだことは仕事に生きているとは思いますが、もっと学んでおけばよかったと思うものも多々あります。特に、論文の解読や国際的な学会への参加に役立つ英語は学生時代に身につけておけばよかったと思いますね。英語ができれば、自分が見ることができる世界や情報も広がりますしね。

笠原さん:当社では、原子力プラントの設計開発から製造、建設、アフターサービスまで一貫して行っています。理工系のさまざまな学科出身の人がエンジニアとして活躍しており、事業分野や職種も幅広いです。新しい原子力開発にも積極的に取り組んでいるので、これからの技術に携わりたい、ものづくりをしていきたい、将来性のある事業に関わりたいと考えている学生さんには、とても魅力的なのではないでしょうか。



(今回のインタビューのまとめ)
お二人とも、原子力発電は気候変動やエネルギー問題の解決といった世界規模の課題解決に貢献するという意識のもと、やりがいとプライドを持ってお仕事に取り組んでいることが分かりました。
好きなこと、興味のあることについて目を輝かせながら語る姿に、明るい未来を感じました。




ライタープロフィール

高橋 みゆき/1983年生まれ。ライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。



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¹ 発電所内のボイラ、タービン、発電機などの電力を生み出す設備の総称のこと。

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