コラム

むずかしいからきいてみた

電気工事士YouTuberにインタビュー!電気の仕事の魅力とは?

掲載日:2023.3.9

#むずかしいからきいてみた

#エネルギー × “ 〇〇〇〇 ”


なるほど!と思う話題、エネルギーにまつわる雑学、ちょっと誰かにシェアしたくなるエネルギーの話をあらゆる方向からご紹介するこの企画。

第6回のテーマは「エネルギーד YouTuber ”」。


電気に関する職業は数あれど、実際にお仕事をしている方と接する機会は少ないですよね。

実は、私たちにとって意外と身近なのが「電気工事士」というお仕事。たとえば、自宅にやってきてクーラーの取り付けやアンテナの設置などをしてくれるのは電気工事士の資格をもつ職人さんです。

今回は、電気工事士とYouTuberとして2つの顔をもつ吉田優さんに、電気工事士の仕事内容ややりがいなどについて伺いました。



電気工事士ってどんなことをする?

YouTubeチャンネル「電気屋優tuber」を運営する優さんは普段、電気工事士として働いています。


電気工事士とは、住宅やマンション、工場などの電気に関する工事をおこなうお仕事。

国家資格であり、電気工事士の資格をもっていないと電気工事をしてはいけないことが法令で定められています。


“ 一口に電気工事士といっても、いろいろな仕事があります。一般住宅のリフォーム、ビルの配電盤設置、工場における大型機器の配線・メンテナンスなど。仕事の種類は、細かく分類すると100種類近くあるのではないでしょうか ”


電気工事士の資格は「第一種」と「第二種」があり、それぞれ扱える電圧の大きさが違います。


●第一種:第二種の範囲にくわえて、最大電力500kw未満の工場・ビルなどの工事ができる

●第二種:一般住宅や店舗などの600V以下の設備の工事ができる


優さんがもっているのは電気工事士第一種。工場の大型機械の取り付けや入れ替え、保守・点検などの分野を得意とされているそうです。


現場の様子


屋根の上での作業も行う



紆余曲折の先に行きついた電気屋としての覚悟

現在では電気工事士としてバリバリ働かれている優さんですが、そこにいたるまでにはさまざまな紆余曲折があったそうです。


“ 当時、建設業界は3K(きつい、危険、汚い)といわれていましたが、実際に働いてみてもやっぱりそう感じる場面が多かったです。当時、きらびやかな世界に憧れていた生意気な自分は、それがいやで数カ月でやめてしまいました ”


その後、バーテンダーなどいろいろなバイトを転々としたり、会社員として働いたりするのですが、27歳のときに再度、電気工事業界に戻ることを決意します。


“ 年齢も年齢だったので『これで最後や』と腹を括り、父親の会社に復帰させてもらいました。そこからは一人前目指して気合を入れ、資格取得にも励みました ”


2018年には電気工事士の資格に加えて、電気工事施工管理技士1級(電気工事の現場管理ができるようになる資格)にも合格。さらなるキャリアアップに日々まい進されています。



電気工事士にはセンスが必要!?

電気工事士のやりがいはどのようなところにあるのでしょうか。


“ 電気工事の仕事は、意外とセンスが問われます。答えがないことが多く、悩んだり工夫したりして、ときには『なんでこんなこと夜中にしないといけないんだ』ということもあります…。ただそれでも、うまく設備が稼働したり、電気がちゃんと流れたりする瞬間は毎回感動しますね ”


さらに、電気工事士は資格をとってまじめに技術を覚えれば、仕事には困らないと、優さんはいいます。建築業界や電機業界は人手不足が深刻化していることもあり、手に職をつければ安定的に稼ぎやすいといえるでしょう。


また、電気工事士の資格は日常生活でも役立ちます。DIYでできる範囲が格段に広がり、コンセントを設置したり、天井に照明を埋め込んだり、配線の位置を変えたりするのもすべて自己完結。業者に依頼したら数万円かかるところを、こだわりの部屋を材料費だけでリーズナブルに作ることもできます。


入門にあたる資格「電気工事士第二種」なら1ヵ月ほど勉強すれば取得できるといわれるので、電気工事士を職業にせずとも取得しておくといろいろなメリットがあるでしょう。




「役に立ちたい」がYouTubeをやる原動力

優さんは電気工事士として働くかたわら、YouTubeでも自身のスキルや経験を動画で発信しています。


2020年10月のチャンネル開設からほぼ毎日動画を配信し、いまではチャンネル登録者数2万人以上。電気工事の初心者の方~上級者まで参考になる動画が日々アップされているので、気になる方はぜひのぞいてみましょう。




優さんがYouTubeをはじめたのは、次のような想いからだそう。


“ 僕が新人のころ。技術的にわからないことを先輩に聞いても、お前にはまだ早いとかいわれて、何もさせてもらえなくて。そんなときはネットでも調べたりするのですが、専門的すぎて情報が出てきませんでした。そこから、簡単な技術でも必要としている人は多いのでは?…と思ったのがYouTubeをはじめたきっかけです ”


YouTubeをやってみたいという方へのアドバイスをお聞きすると次のような言葉をいただきました。


“ 深く考えずまずは1本動画をアップしてみることが大切。はじめに外堀を固めようとすると、やる前に挫折しちゃうんですよね。僕自身、電気屋のニーズはニッチだし、最初のうちは『身内が見てくれればいいや』と力を抜いてやっていました。ただ、それも続けているうちにだんだんと視聴者が徐々に増えていきました ”



情報発信で電気の仕事をクールにしたい

YouTubeがきっかけで人脈も広がり、一緒に仕事をする職人さんも増えたそうです。今後は、これまで培ったスキルや人脈を生かして、会社を大きくしていきたいというのが優さんの目標です。


“ 僕は二代目なので、会社を継承できるように引き続きがんばります。将来的には大規模な仕事をまるっと受注して、みんなで仕事を完成させるということをやってきたいです ”


“ YouTuberとしては、電気工事士のイメージを変えていけたらと思っています。初対面の人に『電気工事士です』っていうと、かっこいいみたいになることはあんまりないんですよね。自分の仕事に誇りをもてない電気工事士は結構多い。だからこそ、YouTubeを通じて『電気工事士ってこんなかっこいいんだぞ』ということを伝えていきたいです ”


本業のかたわらYouTube動画を配信することは、決して簡単なことではありません。撮影や編集が夜遅くまでかかることも多く、YouTuberという一見華やかそうな職業でもさまざまな苦労や努力があります。


それでも続けられるのは、優さん自身が「楽しみながら目標をもって仕事に取り組んでいる」からではないでしょうか。電気工事士YouTuberとして、電機業界を盛り上げていく優さんの今後の活躍に期待です。




ライタープロフィール

小林悠樹/フリーライター。一橋大学卒業後、冷食メーカーに勤務。2016年脱サラし、宮古島へ。

22年さらなる刺激を求めてポルトガルへ移住。著書は『移住にまつわる30の質問』(キッカケ出版)

この記事に登録されたタグ

このページをシェアする

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

関連記事

PAGETOP