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放射線に被ばくすると、体にはどのような影響があるのか


ニュースがわかるトピックス

2014年5月19日



放射線に被ばくすると、体にはどのような影響があるのか


1回の被ばくが100ミリグレイ以下(100ミリシーベルト相当)では、気持ちが悪くなったり、 血液をつくる機能が低下したりすることはない


たくさんの細胞が死ぬなどして臓器や組織の働きが悪くなったり、形に異常が生じたりすることで現れる影響を「確定的影響」といいます。大量の放射線を短時間のうちに受けた場合、被ばく直後から数週間のうちに現れるようになります。そして、受けた放射線量が多いほど早く症状が現れます。

急性の主な症状には、吐き気、嘔吐、白血球や血小板の減少がありますが、それぞれの症状が現れる被ばく量が異なっていて、さらに、その量以下では症状は現れません。また、100ミリグレイ(100ミリシーベルト相当)以下の被ばくでは、いずれの症状も確認されていません。



1回の被ばく量でも積算した量であっても、100ミリシーベルト以下では、がんや遺伝性の影響が 起きるかどうかが他の要因にうもれてしまうため、その影響を判別できません


放射線によって遺伝子が傷つくことで、将来なるかもしれないがんや白血病、遺伝性の影響を「確率的影響」といいます。被ばく量に応じて影響が現れる確率が高くなることが明らかになっています。なお、100ミリシーベルト以下の被ばくでは、将来がんなどのリスクが優位に高まるかどうかその影響を判別できません。



吐き気、嘔吐、白血球減少が現れる被ばく量は?


吐き気、嘔吐、白血球や血小板の減少などの「確定的影響」は、ある決まった量以上の被ばくでなければ症状として現れることはありません。吐き気や嘔吐などは、1回の被ばくが 1,000 ミリグレイ(1,000ミリシーベルト相当)以上であった場合に現れる症状です。

造血機能が低下し白血球や血小板が作られなくなると出血傾向が見られるようになりますが、1回の被ばくが 500 ミリグレイ以上の場合で、被ばくから3~7日後に症状が現れます。

がんなどの治療で放射線治療を受けると、吐き気や食欲不振、全身倦怠感などの副作用が知られていますが、これらの症状も同様で、1,000 ミリグレイ以下ではほとんど現れることはありません。


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【最新情報】

国連科学委員会が福島第一原子力発電所の事故による被ばくを科学的に評価


27カ国が参加する原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)では、原爆やチェルノブイリ事故などによる放射線の影響だけでなく、医療で使われる放射線や原子力施設などによる人工の放射線や、自然界の放射線、さらに、動植物への影響などについても幅広く調査していています。


住民の被ばくは、事故後1年間で最大13ミリシーベルトと評価


東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故による放射線の影響について、平成26年4月に報告書が取りまとめられました。報告書では放出された放射性物質の量や、それらが環境に与えた影響、住民や作業員への影響について日本が提出したデータの解析や、独自の評価が行われました。

この報告書によると、事故後1年の間に幼児で最大13ミリシーベルト、大人で約10ミリシーベルトと評価され、不妊や胎児への障害なども含め、住民には「確定的影響」は認められないとしています。


がんや白血病、遺伝性の影響について


この事故で住民が受けた放射線のレベルは、将来がんになったとしても、被ばくの影響かどうかを区別することはできないとしています。また、現状では甲状腺がんについても同様に評価され、遺伝性の影響について増加は予想されないとしています。



<参考>
放射線の単位、グレイとシーベルトの関係
グレイ(Gy)は、物質や体が吸収した放射線のエネルギーを表します。シーベルト(Sv)は、がんのリスクを表す単位で、グレイで表された値に、「放射線の種類」、「部位や臓器」によって異なる放射線影響の受けやすさを補正しています。
グレイは、主に確定的影響がおきるような高いレベルの放射線量に使われます。なお、全身に1グレイのガンマ線を受けた場合は、1シーベルトに相当します。

資料 : 放射線リスクに関する基礎的情報
福島県の放射線の状況や放射線の影響について、関係省庁が連携しわかりやすく取りまとめられています。(平成26年2月公開、復興庁HP掲載)
内閣府、消費者庁、復興庁、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、原子力規制庁

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