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使用済燃料を貯蔵する「キャスク」は、どんな容器?


ニュースがわかるトピックス

2013年2月14日


使用済燃料の貯蔵方法には、使用済燃料プールに入れて水中で貯蔵する方法と、「キャスク」という専用の容器に入れて貯蔵する方法があります。キャスクは使用済燃料の輸送や貯蔵に使われる専用の容器で、乾式貯蔵キャスク、金属キャスクなどとも呼ばれます。使用済燃料を入れる際には、内部を乾燥させて、不活性ガスとともに封入します。大型のもので燃料集合体を50体程度(沸騰水型(BWR)の場合)収納でき、閉じ込め(密封)機能、遮へい機能、臨界防止機能、除熱機能を備えています。キャスクによる使用済燃料の貯蔵は国内外で数十年の実績があり、国内では東京電力の福島第一原子力発電所と日本原子力発電の東海第二発電所などで行われています。


福島第一の事故では、津波で電源を失いプールの水を循環させることができなくなったため、使用済燃料を冷却できなくなりました。一方、津波によってキャスク保管建屋へ大量の海水や砂、がれきが流れ込んだものの、キャスク自体の冷却機能は保たれていました。これは、プールでは水を循環させて燃料を冷却するのに対し、キャスクは自然対流による空冷式で特別な冷却設備の必要がないためです。


福島第一では、廃炉に向け使用済燃料プールから取り出す燃料の貯蔵にもキャスクが使われます。


原子力規制委員会の田中委員長は、より一層の安全確保の観点から、2012年10月に、他の原子力発電所にもキャスクによる使用済燃料の貯蔵を要請する考えを示しています。



参考:
東京電力プレスリリース資料「使用済燃料乾式キャスク仮保管設備」(平成24年7月4日)
原子力百科事典 ATOMICA「原子力発電所内の使用済燃料の乾式キャスク貯蔵について(11-03-04-09)」

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