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高校生も真剣に考えます
Nuclear Power, do we need it ?


2013年11月8日



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小布施サマースクールでの貴重なひと夏


平成25年8月16~21日、長野県小布施町で「小布施サマースクール」が開催されました。このサマースクールは、ハーバード大学などの世界中の学生と、日本の高校生が集まり6日間の合宿型の共同生活を行いながら、さまざまなテーマのセミナーや、識者を招へいしてのフォーラム、ワークショップを通して「当たり前から踏み出す」機会を高校生たちに提供することを目的に開催されました。
セミナーのプログラムはハーバード大学のフレッシュマンセミナーがモデルとなっていて、テーマは世界から集まった大学生たちによって12のテーマが設定され「Nuclear Power , do we need it ?」「The Economy of National Security」「Leadership and Negotiations」「Western Way of War」など、とてもバラエティー豊か。参加した高校生たちは、その中から3つのテーマを選択し、セミナーリーダーを務める海外の大学生と受講をサポートする日本人バイリンガルのハウスリーダーとともに英語での授業に取り組んでいました。 今回、「Nuclear Power , do we need it ?」のテーマに取り組むクラスを取材させてもらうことができたので、その様子をエネコチャンネル事務局がレポートします。


原子力を語るために必要な科学的な知識


東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、現在、エネルギー基本計画の見直しが進められています。そのなかで、日本は原子力をどのように利用していくのかについても議論されていますが、これは日本に住む私たち全員に関わる問題です。
「Nuclear Power , do we need it ?」を受講したクラスでは、原子力に関する問題について情報を得て、高度な対話の技術を身につけるために、まずは科学の授業からスタートしました。


核分裂って? 物理は習っていない!!


ニュースなどを通して、原子力発電を利用すると放射線や放射性物質が発生するというデメリットや、放射線は体に悪い影響を与えるものという事はよく知られています。しかし、なぜ原子力で発電ができるのかを知るためには、原子の構造や核分裂、原子力発電の仕組みなどを理解する物理の知識が必要になりますが、学校で教わる機会が全くなかったという人が多くいます。
このクラスに参加した高校生たちも物理を履修していないそうで、教える側のセミナーリーダーも、壊変や核分裂で放射線やエネルギーが発生するという説明には相当苦労したそうです。


放射線のイメージがわかった実験が好評


放射線とは何か、放射線による人体影響などを学習する時間では、以前にもエネコチャンネルの体験レポートで紹介している霧箱の実験にチャレンジしました。実験は大成功、このクラスでも好評だったようです。放射線の一種、α線が通った跡を観察することによってイメージがわき、ベクレルやシーベルトといった単位の理解にも役立っていました。


原子力を利用する国フランスと、脱原子力のドイツ


ヨーロッパ大陸で隣り合うフランスとドイツですが、原子力の利用については全く正反対の政策がとられています。この2つの国には共通点もありますが、なぜ政策が異なるのでしょうか。どのような違いがあると思いますか・・・。
このクラスでは「調べる」訓練も行いました。まず高校生が話し合って政策の違いの原因を予想して、その後それをもとにタブレット端末で調べました。調べ始める前の高校生たちの予想は、「全てのポイントが2国間では違うと思う」「人々の意識だと思う」など意見が分かれましたが、「人々の意識」が政策の違いの原因と思う人が多くいました。


政策の違いの原因を予想


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調べる~フランス国民とドイツ国民の原子力に対する意識~


では、「人々の意識」はなぜ違うのかを各自調べるため15分の時間が与えられ、その結果、意識の違いを生んだと思える要因について高校生たちが意見を出し合いました。
その内容は、「フランスでは、原子力関連産業が経済に貢献している。人々が政治家や原子力に携わる人を信頼しているから、原子力の利用を進めている」「フランスは既に電力の8割を原子力で賄っているが、ドイツは2割程度でしかない」「フランスの人々は政府を信頼しているから」「原子力を推進するフランス政府の支持率は6割となっている。政府の支持率によって政策が異なる」などなど。


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セミナーリーダーからは、フランスとドイツの大きな違いは「人々の意識」であり、そのことに気がついたことがとても重要だというコメントが聞かれました。最後に、「このセミナーの目的は原子力についてもっとみんなに知ってもらうことだった。これからも友達や家族と話し合ってほしいし、日本人に原子力についてもっと理解を深めていってほしい。」という言葉でセミナーが締めくくられました。


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セミナーを終えた今、原子力をどう思うか


最後に、参加した高校生、セミナーリーダー、ハウスリーダーに感想をお聞きしたので、いくつかご紹介します。


参加者


  • 原子力発電を利用するしないを考えたとき、世界各国とも意見がさまざまで、その背景を知ると、日本はどうしたらいいのかの判断が難しいし、自分には決められないと思った。このセミナーでメリットやデメリットがいろいろあることを知ったけれど、まだまだ知識が足りないとおもう。
  • 原子力を利用することのリスクがわかり、放射線や廃棄物問題などのリスクを減らして利用できるようにしてほしいと思った。
  • 原子力っておもしろいと思った。


セミナーリーダー、ハウスリーダー


  • 核分裂反応や核分裂によってエネルギーが発生する原理を説明するのが、本当に難しかった。でも、高校生たちは英語での説明を完全に理解できなくても、感覚で理解できたりした点に感動した。
  • 放射線のリスクの捉え方は人によって異なるので、リスクをどこまで受け入れられるかを議論するためには科学的な知識が必要だと思う。
  • さまざまな情報を調べる過程で、フランスの政策決定者には理系の専門家が多いことを知り、原子力に対して理解があり政策に反映されているのではないかということに興味を持った。

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