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私たちが行ってきました!風力発電所&LNG火力発電所-後編 川越火力発電所-(2012年 2月)


2012年3月10日



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川越火力発電所の規模は?


中部電力(株)川越火力発電所(三重県)は海岸部を埋め立てた臨海工業団地の一角に位置しています。 敷地面積は108万平方メートルで、東京ディズニーリゾートの約1.1倍、名古屋ドームの約22倍という広大な敷地を持つ発電所です。 この発電所では、LNG(液化天然ガス)を燃料として発電し、その出力は480.2万kW。国内では千葉の富津火力発電所に次ぐ第2位、世界では韓国、台湾、富津火力に次ぐ4番目に大きな発電所です。



LNGとは?


LNGとは、メタンを主成分とする天然ガスをマイナス約160℃に冷却・液化したもので、冷却・液化することで体積が約600分の1になるため、輸送に適しています。
LNGは主に中東のカタールからタンカー船で約2週間かけて運ばれてきます。タンカー船を係留する発電所の桟橋も長大で、戦時中の日本の巨大戦艦・大和(全長263m)が楽々停泊できるほど。
中部電力ではカタールの他にも、オーストラリア、インドネシアからも輸入しており、このように複数の輸入ルートを確保することで、万が一、カタールへの航路が閉ざされても、安定供給できるよう対策をしているのです。
また、このLNGは、冷却・液化する過程で硫黄分やちりなどの不純物を除去しているため、再びガス化し燃焼させても硫黄酸化物(SOx)が出ないクリーンなエネルギーです。
さらに、LNGは、気体の状態では空気より比重が軽いので、地表にガスが滞留せず、発火温度が他の燃料に比べて高いため、自然発火や爆発の危険性が極めて少ない、安全性の高いエネルギーと言えます。



発電方式は?


外国からタンカー船で運ばれてきたLNGは配管を通って4基のタンクに貯められます。タンクのまわりは高さ11メートルの防液提で囲まれ、防災設備も完備しています。ジャンボ機一機がすっぽり入ってしまう大きさのタンクですが、タンク1基分に貯蔵されている12万m3のLNGは約1週間ほどで使い切ってしまうそう。
川越火力では1、2号機が、ボイラーでLNGを燃やした熱で高温・高圧の蒸気をつくり、蒸気の力でタービンを回転させて電気を作っています。
3、4号系列では、圧縮空気の中で燃料を燃やし、その高温の燃焼ガスでタービンを回すガスタービンと、排ガスの熱で作った蒸気の力を利用するタービンを組み合わせたコンバインド・サイクル発電方式で電気を作っています。
特にコンバインド・サイクル発電は発生する熱の53.9%も電気に変換することができる効率がとても良い発電方法だそうです。
30℃以上もの熱気がこもるタービン室では、タービンが回る轟音のなか、タービンをメンテナンスしている様子も見学できました。また、発電所の中枢となる制御室では、運転状況や発電量などが細かくチェックされていて、私たちがいつでも電気を安定して使えるよう、日々取り組んでいる様子を伺うことができました。


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川越電力館 テラ46


続いて、併設されている川越電力館テラ46へ移動。「人と地球の共生」をテーマにしているこの電力館では、エネルギー問題について討論するサミットに参加したり、クイズやゲームをしながら、地球環境やエネルギーの有限性について知識を深めることができました。


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「笠が吹き飛ばされるほど風が強いから笠取山」19基の風車が設置されているウィンドパーク笠取は、そんな笠取山の頂上近くにあります。風力発電では、直径約50mのブレード(羽根)が風のエネルギーによって回転、その回転力が発電機を動かし、電気を生み出します。ブレードの重さは3枚で8トンもあるのに、風の力だけで回り出し燃料は不要。風の力をうまく使うための設計上の工夫があるそうです。また、想像していたより音が静かで制御機材もコンパクト(コンピュータ2台!)で驚きました。計画開始から5年で事業が立ちあがったそうで、スピーディな設置も特徴です。ただ一方で、風力発電がフル活動できるのは北西の風が吹く12月から4月に限られます。また、風車設置場所の確保のため、森林伐採をせざるを得ない場合があるのも事実。いかに環境との兼ね合いを考えながら設置場所を確保し、他のエネルギーと組み合わせてゆくかが課題となりそうです。
続いて訪れたのは川越火力発電所。480万kWという世界4位の出力を誇る発電所です。高温での作業環境は大変そうでしたが、実際の発電設備は原子力発電所に比べるとシンプルで規模を把握しやすい大きさでした。燃料には安全でCO2排出量も比較的少ないLNGを使用。-162℃に冷却すると液化する性質があり、液化したものを船で輸送、海水で温めてガスに戻し、燃料として使います。4つの大きなタンクに詰まったLNGは約1か月分で、週に1回タンク1つ分のLNGを補給するそうで、大量の燃料を必要とするようでした。
現在中部電力は、カタール・インドネシア・オーストラリアなどに調達先を分散しLNGを輸入していますが、世界的な需要増で安定的な燃料確保に対応する必要がありそうです。
今回の見学で、私は二つの発電形態に優劣をつけるのは難しいと感じました。どちらにも短所はあり、環境、発電量、供給の安定性、コスト、地元の理解、安全性、地域への貢献(雇用)等、様々な要素でプラスとマイナスがあります。私たちには、どの要素を最も重要視しどんな選択をしていくかが問われているのではないでしょうか。



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今回、新エネルギーと従来のエネルギーである風力発電所と火力発電所を見学し、それぞれのメリット、デメリットについて学び考えさせられました。
まずウィンドパーク笠取では、風車が同じ方向を向いてたくさん並んでいて機械的なイメージを抱いていたのですが、笠取山に点在する白い風車がとてもきれいでした。
風力発電に関しては、一基の発電量が少なく基数が多く必要なので、コストと採算性、広大な土地が必要とすることについて、気になっていました。一度建てたら風の力だけで発電するので、とてもクリーンなエネルギーなことが魅力的ですが、お話を聞くと、やはり国土がせまい日本では大幅に基数を増やすことは難しく、また季節によって発電量が大きく異るために安定した供給も難しいようです。私は、風力発電は従来の火力や原子力の代わりとはなりえないが、日本の国土面積に見合った範囲での補充的なエネルギーとしてこれからも重要だなと感じました。
次に川越火力発電所に見学に行き、火力発電についての基礎知識を得ました。
私は「火力発電は、燃料に使われているのは石油で、デメリットは二酸化炭素の発生量が多いこと」と思っていました。しかし、実際には、「一番主流なのは天然ガスで、安い石炭も使われていて、石油を使うのは足りないときだけ」などと知らないことがたくさんあり、多くのことを学ぶことができました。
私は今回の見学を通して、最近注目を浴びている新エネルギー、風力発電は様々な制約により、限界があるということを感じました。新たな企業が参入したり、技術が発展して、割合的に増やすことは可能かもしれませんが、エネルギー供給の主力となるためには調整が可能で、発電量が多い必要があるので、現時点では不可能だと言わざるを得ません。しかし補助としながらも、新エネルギーの割合を少しずつ高めていくことで、クリーンで安全なエネルギー供給を増やしていくための一歩となることを確信しました。



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数ある発電方法の中でも主要な発電法、風力、火力を同時に見ることのできた大変充実した一日でした。残る印象は、それぞれに対する新しい知識をたくさん吸収しイメージしやすくなったこと、そして、それぞれの発電方法に最適な活用法があるということです。
まずは最初の点において。すごかったです、風力発電。大きさゆえの迫力は勿論、風向や風力に合わせて風車の向きやブレードが自動的に動くようになっている点、発電中もとりわけ人の力はいらず、それゆえに人員コストが安くて済むという点。反面、風力発電設置のために伐採される森林の存在。環境に優しいエコエネルギーでも、このような形で環境を傷つけてしまうことも忘れてはいけませんよね。
火力発電所では、LNGという燃料について初めて学びました。特徴がいくつかあります。液化する過程でチリや硫黄物が取り除かれるため、クリーンな燃料であること。自然発火の可能性が低いという安全性。運搬での利便性。さらには、排出する二酸化炭素の量が石炭や石油に比べて少ないという点。このようなメリットを多く持つLNGは、世界各国でも注目され、高額である上に調達も難しいそう。そんな中で中部電力はカタールをはじめとした数ヶ国と契約を結んでおり、万が一どれか1つの航路が途絶えた場合にも備えているそうです。
2つの異なる発電所を回ることで、それぞれにメリット・デメリットが存在し、設置するのに最適な条件が存在することを実感しました。例えば、風力発電は主に冬の風を利用するため、夏はあまり稼働しません。ということは、風力発電のみで1年間日本を動かすことは不可能ですね。土地が限られている日本では、大きな設備を山まで運んでくるのも大変なこと。ですが漁業権などの問題上、沿岸にたくさん建てることはできません。またLNG火力は発電効率が良く、石油や石炭火力よりも二酸化炭素の排出量が少ないものの、他の発電方法に比べると二酸化炭素を多く排出してしまうことに変わりはありません。
様々な発電において進む発展や工夫を信じつつ、それぞれの良さを生かし組み合わせた、最善の道を探る継続的な努力が必要でしょう。

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