ほうしゃせん古今東西

病院帰りに放射線検知!?


2014年6月10日


原子力発電所などの原子力施設が設置されている近傍の地域では、各所に環境モニタリングステーションという放射線レベルを常時測定する機器が、環境安全の確認のため年中無休で運転されています。


時々刻々に環境放射線レベルの測定値を記録したグラフを見ますと、放射線レベルの値が短期間ですが上昇していることがしばしば記録されています。


この変動を降雨の記録と比較してみますと、両者の変動はよく一致しています。つまり、降雨により上空にある自然放射性核種が地上に移動するために、放射線レベルが一時的に上昇するのです。しかし、核種の半減期が短いので、短時間で元のレベルに戻ります。


このように、降雨による一時的な環境放射線レベルの上昇はしばしば観測されますが、まったく降雨がないのに、稀に一時的に放射線レベルの上昇が検知されることがあり、その原因を突き止めるのに担当者が苦労することがあります。


ある時、京都府内の環境モニタリングステーションで、原因不明の一時的上昇が観察されました。担当者は、その時検知したガンマ線の波長やその他の特性を詳しく調べて、このガンマ線はテクネチウム99mというラジオアイソトープ※のものと突き止めました。


近くにある病院に問い合わせたところ、レベル上昇が検知された日に、近傍に住む患者に病気の診断のためテクネチウム99mを投与したことが知らされました。この診断用ラジオアイソトープ※を体内に入れた患者が帰宅し、モニタリングステーションの近くを通ったことにより、この人から出る放射線を検知して、一時的に放射線レベルの記録が上昇したことが判明しました。


※ラジオアイソトープ:放射性同位元素と呼ばれる、放射線を出す元素(原子)の意味。放射性同位元素を含んだものを放射性物質と呼びます。

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