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東西の電力融通と周波数変換


2014年11月25日


preface

2011年3月の東北地方太平洋沖地震により、東日本では原子力発電所や火力発電所が被害を受け、電力不足のため東京では輪番停電が実施されたことなどが記憶に新しいところです。その折、被害のなかった中部電力以西の電力会社から電力を送ってもらう「電力融通」が注目されました。しかし、東西の周波数の違いから融通できる電力量には限界があることが露呈しました。

今回は、その東西の電力融通と周波数の事情についてご紹介します。


東西で異なる日本の電気の周波数


日本の電気の周波数は、静岡県の富士川あたりを境に、東日本が50Hz(ヘルツ)、西日本が60Hzと異なっています。これは、1896(明治29)年に、当時の電力会社である東京電燈がドイツ製の50Hzの発電機を、大阪電燈がアメリカ製の60Hzの発電機を、それぞれ導入したことが発端です。

日本全体で周波数を統一する検討も行われてきましたが、電力会社と消費者双方が設備を交換する必要があるなど莫大な費用がかかります。政府の試算では、発電機や変圧器など電力会社の設備交換だけで約10兆円が必要とされています。


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東西の電力融通に必要な周波数変換


送電線網に異なる周波数の電気を送りこむと、電気の流れが乱れて停電を起こすおそれがあるため、東西で電力の融通を行う際には、同じ周波数に変換する必要があります。50Hzから60Hz、あるいは60Hzから50Hzへ周波数を変換する「周波数変換所」は現在、静岡県に2つ、長野県に1つあります。

最初につくられたのは、30万kWの周波数変換能力をもつ佐久間周波数変換所(電源開発(株)・静岡県)で、1965年に運用を開始しました。その後、1977年に新信濃周波数変換所(東京電力(株)・長野県)が30万kWで運用を開始し、1992年に60万kWに設備を増強、さらに2006年には東清水周波数変換所(中部電力(株)・静岡県)が10万kWで運用を開始しました。


東日本大震災後の変換能力の増強


東西での電力融通の能力を強化するには、周波数変換設備の増強に加え、それにつながる送電線など送変電設備の増強も必要となり、多額の費用がかかります。その一方で、電力は、それぞれの電力会社がその管内に供給することが原則で、電力会社間での電力の融通は主に緊急時の対応として行われるため、周波数変換所は設備利用率が低いという面もあります。こうしたことから電力会社では、周波数変換能力の大幅な増強より発電設備の増強に力を入れ、電力の安定供給を図ってきました。

しかし、東日本大震災において大規模電源が被災したことなどにより、全国で電力の供給力が大幅に不足する事態が発生しました。これを受け、東清水周波数変換所では、緊急対策として変換能力を13.5万kWに強化し、2013年には30万kWでの運用を開始しました。これにより、現在の日本の周波数変換能力は、合計で120万kWとなっています。

さらに2013年には、電力系統利用協議会から「東京中部間連携設備を90万kW増強する必要がある」との提言が出され、具体的には、新信濃周波数変換所を60万kWから150万kWに増強し、長野方面で直流送電を活用して連系することによって、2020年度を目標に運用開始をめざすとされました。これを受け、電力9社は具体的な準備を開始しています。この増強によって、日本の周波数変換能力は、合計で210万kWとなります。

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