ほうしゃせん古今東西

日本最古の銀宝飾品の工房跡を蛍光エックス線分析で発見


「蛍光エックス線分析」という分析法は、考古学上の重要文化財や美術品などに含まれる元素を非破壊で分析する方法です。

 普通の分析法では、試料の一部を切り取って薬品に溶かしたり、熱で灰にしたりして分析する方法が使われているのですが、傷つけたくない貴重な試料については、近年、発明された蛍光エックス線分析を用います。

 西洋や日本の昔の名画について、それに使われている顔料を調べるのにも、この方法が広く使われています。例えば、わが国の重要な文化財である国宝源氏物語絵巻に、どの部分にどのような顔料が使われているのかを国立東京文化財研究所では、この蛍光エックス線分析装置を用いて調査しました。

 蛍光エックス線分析では、試料にエックス線を照射すると、それにより試料に含まれている元素からその元素特有のエネルギーや波長をもつエックス線が二次的に発生しますが、それを測定することによって試料に含まれている元素の種類や量が分かるのです。

奈良県には昔の古墳が多数ありますが、それらの古墳にみられる岩壁の絵の調査によく応用されています。同県明日香村飛鳥に見つかった飛鳥池工房遺跡から美しい玉類や銀製品をつくるための坩堝などが出土し、奈良国立文化財研究所の飛鳥藤原宮跡発掘調査部は、この飛鳥池工房遺跡は古代において仏像を飾るための宝飾品を作る工房であり、銀製品の工房としては日本最古のものであると発表しました。銀製品をつくる坩堝(口径と高さ共に一〇センチ)からは、蛍光エックス線分析装置により、銀を検出したと発表しました。

ここでつくられた銀の宝飾品その他は、各地の寺院の仏像に使うよう広く送り出されたと考えられています。

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