ほうしゃせん古今東西

日本でも使われていたエックス線靴合わせ器


2013年8月30日


2012年5月にイギリス・グラスゴー市でIRPA(国際放射線防護学会)の第13回大会が開かれました。これに出席されたお茶の水女子大学の古田悦子先生は、近くの街のスターリング市にあるスターリング博物館に展示されている20世紀初め頃に作られたエックス線靴合わせ器を見に行きました。


この機器は靴を買う時に、その靴が自分の足によく合っているかどうかをエックス線を使って、自分の眼で見て確かめるためのものです。二段の階段が前面についている縦に長い箱のような装置で、試したい靴を履いて足を上の階段に開いている孔の中に入れてスイッチを押し、箱の上部にある「のぞき孔」から見ると、靴と共に自分の足が骨まで見えるようになっています。


博物館では、この機器の側にそのやり方の説明図が貼ってあるそうです。古田先生の訪問記によると、「1年間に12回以上使わないこと」と注意書きがしてあるそうです。しかし、普通誰でも新しく靴を買う時は、異なるサイズの靴を三つか四つくらい試してみるものですから、おしゃれな御婦人方の場合は一年にもっと数多く試してみるのではないでしょうか。当然のことながら、現在はこの機器の使用は禁止されています。足への放射線照射が大きいからです。


ところで、このエックス線靴合わせ器は日本にも輸入されていたことを示す証拠品があります。環境、食品などの放射性セシウムの分析測定の先駆者だった国立公衆衛生院(当時)の故山県登先生が押し入れの中の子供時代の宝箱を整理したところ、このエックス線靴合わせ器の絵や足のエックス線写真が描かれているサービスマッチを発見しました。このマッチを配っていた梅本靴店の名が印刷されています。よほど高級な靴屋さんだったのでしょうか。山県先生の子供時代というと、大正時代の終わり頃と推測されます。日本にも輸入されていたことがわかります。


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