ほうしゃせん古今東西

文部省唱歌と放射線


2014年8月1日


昔の小学校には唱歌という時間があって、先生の弾くオルガンに合わせて「尋常小学唱歌」という教科書に載っている歌をうたいました。


尋常小学は、その上に高等小学という課程があって、尋常科が今と同じ六年間、高等科は二年でした。 岩波文庫には、『日本唱歌集』という本があって、尋常小学校で教えた唱歌の名作がいくつもおさめられています。注意を引くのは、この中に鉄道に関する唱歌がいくつかあることです。


汽車というものは、大人だけでなく子供にもとても魅力のあるものであったことがうかがわれます。 汽車の唱歌のうち最も有名なのは「鉄道唱歌」といって、全国の主要な鉄道をカバーしたものです。長いものなので、文庫にはそのうちの東海道篇のみが収録されています。


最初の部分、「汽笛一声新橋を はや我汽車は 離れたり……」 という部分は、よく知られています。 もう一つ私たちの興味を引く唱歌は、「汽車」という歌で、 「今は山中今は浜 今は鉄橋渡るとき 思うまもなく トンネルの闇を通って広野原」 とうたうのです。


私たちは、大地や宇宙、空気や食物など様々なところから自然の放射線を受けていますが、この短い歌の間に、景色が変わるにつれ、汽車に乗る人の受ける放射線が大きく変化することが思い浮かばれて興味深い歌と言えます。山の中から浜辺に出ると、大地は片側が主で、浜辺はほとんど海水に覆われているため、大地からの放射線が遮られ、山側から来る大地の放射線が主になります。


次いで鉄橋を渡る間は海の上なので大地からの放射線は海水に遮られ私たちには届きません。そして、トンネルの中に入ると回りが岩石や土壌に囲まれ、大地からの放射線は大きくなります。 そして、トンネルを抜けると、再び普通の状況に戻るのです。

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