ほうしゃせん古今東西

指輪や勲章などに含まれる放射性の銀を測定する


2015年2月26日


1945年に広島、長崎で原爆に被ばくした人たちは、ガンマ線と中性子線を体に受けました。これらの被ばく生存者の方たちの健康調査を広島と長崎にある放射線影響研究所が長年にわたって行なっています。


白血病やがん、遺伝的影響などに力を入れて追跡調査が実施されてきていますが、これには被ばくした人たち各人の被ばく線量をできるだけ正確に知ることが必要です。これは大変困難な仕事です。なかでも中性子の線量は、特に推定が困難とされています。 中性子を普通の核種(非放射性)に照射すると、放射性核種が生成される現象があります。これを中性子による放射化といいます。


この現象を利用して、放射化された核種がどれだけ生成しているかを測定して照射した中性子の線量を推定することができます。


これまでは原爆の中性子で放射化されて生成したコバルト60(60Co)という核種その他を測定して、原爆からの中性子の線量を推定していました。しかし、コバルト60は、半減期が5・3年と比較的短いので、今は測定が困難となりました。


金沢大学の低レベル放射能実験施設長の小村和久教授は、鉱山跡の地下深くにつくった地下測定室に超微量放射能測定設備を置き、広島平和祈念資料館の所蔵する勲章や指輪など、さらに長崎の資料館が所蔵するメダル、スプーンなどに含まれる銀が中性子で放射化されてできた超微量の放射性銀(108mAg)の測定に成功しました。放射性銀は、半減期が127年とかなり長いので、今でも残っているため測定することができます。


今後は、被ばくした一般市民の方たちからも、その時に持っていた銀貨やロザリオその他を貸してもらい、放射性銀を測定して、中性子被ばく線量の推定の精度を高めることが期待されます。

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