ほうしゃせん古今東西

古代エジプト文明を解明する放射線


2015年8月26日


古代エジプトといえば、西暦紀元を数千年くらいまで遡る長い年月を指しているので、その歴史的内容には膨大な量の未知の出来事が含まれているはずです。エジプトを研究する考古学において知られているのは、その中のほんのわずかの部分に過ぎません。


まして、一般人の私たちの知識は、ピラミッド、ミイラ、ツタンカーメン、クレオパトラ、歌劇アイーダ、吉村作治さん、ぐらいの程度です。


歌劇アイーダは作り話ですが、設定としてはツタンカーメンと同じ第一八王朝の時代の話です。もう少し時代が新しくなって出て来るクレオパトラは本当の歴史上の話です。 エジプトの古代遺跡から発見される美術品や壁画に用いられている顔料を調べるには、それらを傷つけない方法として、蛍光エックス線装置やエックス線回折装置が使用されます。


前者は、試料にエックス線を照射すると、試料に含まれる元素に特有の波長をもつエックス線が二次的に発生するので、それを測定して、その元素の種類や量を知る装置です。後者は、エックス線を試料に照射し、エックス線が原子によって散乱され、散乱エックス線間で起こる干渉を調べることによって物質の結晶構造を知る装置です。


エックス線回折装置は大型で研究室に試料を持ち込める場合はいいのですが、遺跡や洞窟内のような現場で分析することができません。エジプトの遺跡調査をしている早稲田大学の宇田応之教授らは、小型のエックス線回折装置の開発に成功し、古代エジプトの遺跡のあるルクソールで現場調査を行ないました。


そこで、4000年前の墓から発掘された石碑の絵の顔料をポータブルのエックス線回折装置と蛍光エックス線装置を用いて調査し、この顔料がハンタイトという美しい白色顔料であることをつきとめました。 また、ルクソールにある3350年前の貴族の墓の壁画についても分析し、白い部分にこのハンタイトが使われていることがわかりました。ハンタイトは産出が極めて少なく、王室や貴族の墓で使われる貴重な顔料です。

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