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原子力発電所の機械設備の保守業務を担当する技術者


2013年12月12日


原子力発電所にはさまざまな施設や設備があります。

安全に発電所を運転し、電気を私たちのもとに送り届けるために、多くの人が携わっていますが、どのような人が、日々何をしているのかは、あまり知られていません。

そこで、発電所の運転に関わるさまざまな方にお話をうかがいながら、原子力発電所がどのようなところで、どのような人が働き、いかにして安全を守るために努めているのかをご紹介します。



敦賀発電所とは


日本原子力発電(株)敦賀発電所は、福井県敦賀市内から車で45分ほどの敦賀半島の先端にあります。敦賀発電所には、日本で初めての商業用軽水炉として1970年に営業運転を開始した1号機、1987年に営業運転を開始した2号機があり、現在3、4号機の建設を計画しております。


敦賀発電所では、福島第一原子力発電所の事故から得られる知見等をふまえ、世界最高水準の安全性を目指して、技術的な検討が進められています。現在は、平成25年7月に施行された新規制基準に基づいて津波の高さを評価検討しており、今後防潮堤の設計が行われる他、浸水防止対策や電源の多重化など、さまざまな対策に取り組んでいます。

 


発電所のドクターとして


白木さんの所属されている保修室 機械グループでは、原子力発電所にある機械設備のメンテナンスの工事管理、工事計画を行っています。どこの設備をどのようにメンテナンスするのかという工事計画は重要な業務です。具体的な工事計画は他の発電所や海外の事故事象・知見などを参考にしながら立てることが多いそうです。


白木さんは、敦賀1号機では、原子炉設備まわりの原子炉再循環系、敦賀2号機の場合は、蒸気発生器という設備を担当されています。基本的に一つの設備の担当は1人。責任重大ですね、というと、「そうですね。ただ僕は発電所内で保修室は一番重要な場所だと思っています。僕たちが発電所の設備をきちんとしなければ発電所は動かないと思って業務にあたっています。発電所のドクター的な役割をしているので責任重大ですが、そこがやりがいです」と答えていただきました。


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担当の設備を説明される白木さん


白木さんの業務は、設備にいつ不具合が起こるか事前に察知しなければならないなど、まさに人を診断するように丁寧に設備の状況を常にチェックする細やかさが求められた業務です。


ミーティングや工事計画立案などの業務の合間を縫って、時間がある時にはまめに現場に足を運び、ご担当の設備のチェックをするそうです。


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現場での配管検査前の計器校正確認


1日のスケジュール

08:30 始業 ラジオ体操 朝のあいさつ
ミーティング①(一日の業務内容の確認、今日はどの設備を点検するかなど各担当の業務内容を共有)
08:50 業務開始
12:00 昼休み
13:00 ミーティング② 午前中の作業報告、朝のミーティング後に発電所全体で共有された情報等を共有
14:00 現場パトロール、工事の立会い、工事等に関する打合せ
17:00  終業


毎日2回のミーティングが実施されています。朝のミーティングでは、各担当の一日の業務内容を確認し、昼のミーティング時には午前中の作業報告、朝のミーティング後に発電所全体で共有された情報等を共有しているかを報告します。


白木さんの業務が多忙になるのは、発電所が止まり、定期検査に入る時期です。メーカーや業者さんが入る工事計画やそれに伴う書類作成などの対応に追われるそうです。



より丁寧な説明を


白木さんは、もともと機械系のご専門ではなく、大学では放射線を検知する機械を使って実験を行っていたことから、原子力に興味を持ち、入社してから機械系の勉強をされたそうです。家族や周囲の友人も原子力に携わる方ばかりではありません。


福島第一原子力発電所の事故後は、周囲からも原子力や放射線について質問されることが増えたとのこと、今まで以上に一般の方の中でも原子力や放射線についての関心が高まっていることがわかります。


実際ご家族から、福島第一の事故後に「放射能は感染するのか」という質問をされ、一般の方々の認識として、放射線、放射能は怖いという知識や情報が世の中に溢れているため、放射線は日常生活で身近に存在しており、どの程度であれば危険ではないのかということがきちんと理解されるように、丁寧に説明していく必要性を感じられたそうです。


自分の身に置きかえて


「原子力発電所の安全を考える上で、何が重要か?」
白木さんは、出張で訪れたドイツで「チェルノブイリ事故に際して、ドイツは自分の発電所で事故が起こった場合を想定し取り組んでいる姿勢」が強く印象に残っており、ただ訓練すれば良い、設備を付ければ良いということではなく、福島第一の事故については、自分の発電所に置き換えて日々業務を行っていくことが真の安全につながるのではないかと考えているそうです。

 

「他の国や他の発電所で起こった事故だと思うと、規制側に要求されたことを頂点だと思って行動するだけになってしまいます。海外や他の発電所の情報も常に得ながら、対話しながら学んでいくことが重要だと思います。」と白木さん。

 

現在は新規制基準に対応して、他の電力会社が何をしているか、自分の発電所がどうしていくべきか、アメリカ原子力規制委員会NRCのHPで情報収集をしたりしているそうです。

 

最後に「現在、敦賀発電所では敷地内の破砕帯の調査が行われていますが、その問題がクリアしたら、再稼働を目指して動いていけるように工事計画を立てているところです」と締めくられました。

 

安全を守るために終わりのない真摯な取り組みが求められる日々の業務を「やりがいです」とお答えいただいた白木さんの笑顔が印象的でした。

 

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