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原子力発電所で活躍する女性技術者


2013年10月3日


原子力発電所にはさまざまな施設や設備があります。

安全に発電所を運転し、電気を私たちのもとに送り届けるために、多くの人が携わっていますが、どのような人が日々何をしているのかはあまり知られていません。

そこで、発電所の運転に関わるさまざまな方にお話をうかがいながら、原子力発電所がどのようなところで、どのような人が働き、いかにして安全が守られているのかをご紹介します。



きりりとした表情が印象的な岩崎さん


島根県松江市内から車で30分ほどの場所に位置する中国電力(株)島根原子力発電所を訪れました。島根原子力発電所には昭和49年に国産第1号として営業運転を開始した電気出力46万kWの1号機、平成元年に運転を開始した出力82万kWの2号機、また、建設中の3号機があります。

現在は1、2号機とも定期検査のため停止している状態で、平成25年7月に施行された新規制基準に対応するための対策を施すため建設中の3号機も含め大がかりな工事が行われています。発電所内は大規模なビルの工事現場さながらといった状況でした。

 

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この日お会いできたのは、作業服に身を包みきりりとした表情が印象的な女性の技術者、保修部主任の岩﨑愛さんです。

岩﨑さんは発電所の制御設備全般の保守管理を行う保修部(計装)に所属し、発電所の運転を制御するために必要な原子炉の水位・圧力などをコントロールする制御システムの主要な装置の保守管理を担当されているそうです。

1、2号機とも運転を停止している現在、業務量は通常より少なめかと安易に思っていたところ、冷却のための主要設備などは停止中もきちんと機能するように保守管理の必要があるそうで、21時近くの最終バスまで残業することもしばしばとのこと。

 


1日のスケジュール

実は岩﨑さんは、3人のお子さんの育児もこなしながら働くお母さんです。

「お弁当のある日は朝4時に起きて掃除して、洗濯をして、朝食・夕食の準備・・・」
と、朝のうちに家事をしっかりこなしてから、お子さんを保育園に送り届けてから出勤するとのこと。

「毎朝、大忙しですね」と問いかけても、「ふふふ」と笑顔でこたえる岩﨑さんに母の偉大さを感じました。

出勤してからのスケジュールは、

 

8時50分 始業・担当者ミーティング
当日の作業ポイントやスケジュールを確認
午前の業務開始
現場で作業がある場合は、作業者との打合せや現場の立ち会い
12時 昼食
13時 午後の業務開始
17時20分  終業
日によって残業

 



実際に作業の様子を見せていただいたのは補助盤室という部屋で、岩﨑さんが担当する設備が収納されているスペースです。

「通常の運転監視は発電所の運転員が行っていますが、たとえば、軽微な異常などが発生した場合には、保修部員がここで原子炉への給水の状況や圧力など制御状態を詳細に確認し,原因を突き止めて正常に復帰させる対応を行います。」
と、備え付けられていたパソコンモニターを確認していました。

島根原子力発電所の原子炉は沸騰水型原子炉で、原子炉内の水を循環させて水量を調整することで原子炉の熱出力をコントロールしています。岩﨑さんが受け持っているのはこの機能が正常に働くために保守管理を行うとても重要な役割です。

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原子力発電所で働く、ということ


島根原子力発電所では約600人の社員が働くなか、岩﨑さんをはじめ女性技術者は9人。それでも働きにくいと感じるようなことはないそうです。逆に、
「子どもが熱を出して迎えに行かなければいけないこともあります。そんな時は業務を代わってもらうこともあります。」
と周りに迷惑をかけてしまっていることを心配しているそうです。と同時に、
「仕事を続けられるのも、家族や職場の上司・同僚の理解があるからです。」
と岩﨑さんは当然のように話していましたが、実はとても重要なことです。

ヨーロッパでは多くの女性が家庭と両立させて仕事をするのはごく自然なことで、原子力発電所でも多くの女性技術者が働いていると聞きます。

岩﨑さんも多忙な毎日のなかで時間のやりくりに苦労しているそうですが、
「原子力発電所では、さまざまな設備をきちんと機能させるためのメンテナンスに安全が託されています。そのため、ひとつひとつの業務を確実におこない、それを積み重ねていくことが大切です」
「福島第一原子力発電所事故の教訓と新規制基準の導入をうけ、日頃からこれでいいのか、もっと安全にできるかということを考えながら、安全の向上を目指して日々取り組んでいます。とても責任のあるやりがいのある仕事です」
とその言葉から、仕事に対する真摯な姿勢が伝わってきました。

 

島根原子力発電所の安全を支えるひとりの技術者として、今後の活躍に期待したいと思います。

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