ほうしゃせん古今東西

「びじょざくら」と重粒子線


がんの放射線治療として長年にわたってコバルト60線源を使うガンマ線照射が行なわれてきました。現在も広く使われています。20世紀の終わり頃になって、重粒子線治療という新しい名前のがん治療が世間でもよく聞かれるようになりました。

炭素などの原子核を強力な加速器で加速した粒子の束の流れを重粒子線といい、がんの治療に大きく役立つようになったのです。

この重粒子線は病気の治療に用いられるだけではなく、農業や園芸植物の品種改良にも有効で、新品種の育成にいくつも成功しています。

「びじょざくら」(バーベナとも呼びます)は、美しいので観賞用の花として愛されている多年生のものです。高さ20~30センチの大きさで全体に毛が生えています。楕円形の葉には、ギザギザのふちがあります。夏から秋にかけて茎頂に散形状の花序をつけ、多数の花が開きます。

花はやや、さくらそうに似ていて、赤、白、紫色の品種があります。

理化学研究所とサントリーとが共同でこの花の品種改良に重粒子線照射を試みました。重粒子線を照射した123株の中から、花の盛りの期間が大きく延長された突然変異株が4株見つかりました。

この花は、ふつう咲き始めて1~2か月たつと花が五房程度に減ってしまうのですが、得られた新品種では4月から10月までの開花時期に、常に10房以上の花をつけ、多い時には40房もの花をつけました。

このびじょざくらの新品種は、このように優れた特長を持っているので、評判が良く花屋さんに出荷されているそうです。

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