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    第5章 原子力発電の安全性


  • 【5-1-1】火力発電と原子力発電の違い


    原子力発電は、蒸気でタービンを回して発電する点では火力発電と同じである。違いは、火力発電のボイラーが化石 燃料を使用するのに対し、原子力発電ではボイラーを原子炉に置きかえ、ウランを燃料としていることである。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-2】沸騰水型炉(BWR)原子力発電のしくみ


    軽水炉のうち、炉内で冷却水を沸騰させ、発生した蒸気をそのままタービンに送る直接型サイクルの炉型を沸騰水型 炉(BWR)という。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-3】改良型沸騰水型炉(ABWR)の構造上の特長


    ABWRの特長は、BWRでは原子炉圧力容器の外に設置していた原子炉再循環ポンプを圧力容器の中に設置し、ポンプ 回りの配管をなくして単純化したことと、制御棒駆動機構として水圧駆動に電動駆動を加えたことである。2016年 1月現在、ABWRを採用している発電所は、東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所6、7号機、中部電力(株)浜岡原 子力発電所5号機、北陸電力(株)志賀原子力発電所2号機の4基となっている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-4】改良型沸騰水型炉(ABWR)の特長


    ABWRは最新技術と運転経験を踏まえ、数々の優れた設計改良を施し、安全性・信頼性の向上、運転性・保守性の向 上、放射線量・放射性廃棄物発生量の低減、経済性の向上等の特長を備えている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-5】加圧水型炉(PWR)原子力発電のしくみ


    軽水炉のうち、炉内の圧力を高め冷却水を沸騰させない炉型を加圧水型炉(PWR)という。 この型式では、原子炉の中で発生した高温高圧の熱水を蒸気発生器に送り、そこで別の系統を流れている水を蒸気に 変えてタービンに送る。原子力船や原子力潜水艦はこの型式である。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-6】原子炉圧力容器断面図


    原子炉圧力容器には、燃料、減速材および1次冷却材等の原子炉における主要構成材料が収納されている。容器内の燃 料は、循環している水により熱が除去される。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-7】燃料集合体の構造と制御棒


    燃料集合体は、ウラン燃料(ぺレット)が充てんされた燃料棒を、1体あたり、BWR用では50~80本程度、PW R用では200~300本程度束ねたもの。制御棒は、ホウ素やカドミウム等の中性子を吸収しやすい物質で作られてお り、制御棒を出し入れすることにより原子炉内の中性子の量を調整し炉心の出力をコントロールするもの。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-8】天然ウランと濃縮ウラン


    天然ウランには核分裂しやすいウラン235が0.7%程度しか含まれていないので、軽水炉ではこれを3~5%に濃縮し たものを燃料として使っている。残りの95~97%は核分裂しにくいウラン238である。(2016年3月14日更新)


  • 【5-1-9】原子力発電と原子爆弾の違い


    原子爆弾はウラン235をほぼ100%まで濃縮しているのに対し、原子力発電(軽水炉)燃料のウラン235の濃縮度は 3~5%である。従って、原子爆弾と原子力発電の燃料はウラン235の濃縮度が大きく異なっており、原子炉が原子爆 弾のように核爆発を起こさない。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-1】原子炉の固有の安全性(自己制御性)


    軽水炉は、何かのはずみで出力が上昇しようとしても、減速材(水)の働きや燃料自身がもっている性質により、自 然にその上昇が抑えられ、一定の出力で安定するという固有の安全性(自己制御性)を有している。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-2】非常用炉心冷却装置等の例(BWR)


    BWRにおける原子炉冷却材喪失事故の主なものは、原子炉冷却系配管の破断である。この事故に対する非常用炉心冷 却装置(ECCS)には、高圧炉心スプレイ系、低圧炉心スプレイ系、格納容器スプレイ系、低圧注入系、自動減圧系な どがある。ECCSは原子炉の中に注水したり、燃料棒に水をかけることで、燃料棒の破損を防止する。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-3】非常用炉心冷却装置等の例(PWR)


    PWRでは、一次冷却系配管の破断に伴う冷却材喪失事故に備えて非常用炉心冷却装置(ECCS)を設けている。 ECCSは、大破断から小破断までの配管破断に対応できるよう高圧注入系、低圧注入系および蓄圧注入系から構成され ている。ECCSが燃料棒の破損を防止するために、大量の水を炉心に注入するほか、格納容器スプレイ装置が格納容器 内の冷却を行う。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-4】原子力発電所の定期検査の目的


    原子力発電所では安全・安定運転の確保のため、定期的に検査を行い、設備の健全性を確認するとともに機能維持や 信頼性向上のための措置を取っている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-5】設備の健全性評価の方法


    使用に伴って生ずる設備劣化の度合いを検査し、一定期間後の劣化進展を予測評価した結果、安全水準を満たす場合 は継続使用し、満たさない場合には補修または取替えを行う。このための検査・評価の方法、判定基準を示したもの が維持規格(維持基準)である。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-6】原子力安全規制の体制変更


    2012年9月19日、政府から独立して原子力発電の安全規制を担う「原子力規制委員会」と事務局の「原子力規制庁」 が発足した。原子力規制委員会は、経済産業省から安全規制部門を分離し、環境省の外局組織として設置された。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-7】原子力安全規制体制


    これまで各関係行政機関が担っていた原子力の規制の事務、核物質等を守るための事務(核セキュリティ)を原子力 規制委員会に一元化された。原子力規制委員会は、放射線モニタリング、放射性同位元素の使用等の規制も担う。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-8】原子力発電所の新規制基準


    新規制基準では「深層防護」を基本として、共通の要因によって安全機能が一斉に喪失することを防止するために、 耐震・耐津波性能や電源の信頼性、冷却設備の性能などの設計基準を強化、そうした設計の想定を超える事象にも対 応するシビアアクシデント対策やテロ対策を要求。規制基準は必要な性能を規定する「性能要求」を示すもので、そ の基準を満たすための具体的な対策は、事業者がそれぞれの原子力発電所の特性に応じて選択することになる。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-9】
    原子力発電所の定期安全レビューと高経年化対策


    事業者は、高経年化対策として、運転開始後30年を経過する前に技術評価を行い、その後の10年間に実施すべき追加 保全策を抽出した長期保守管理方針を策定し、国の認可後、この方針に基づく保全計画を作成する。 技術評価と長期保守管理方針は、最新の技術的知見を取り入れながら、10年ごとに見直される。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-10】地震の知識


    地震は、プレートの運動によって蓄積されたひずみのエネルギーが、ある限界を超えたときにエネルギーを解放して 発生する。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-11】原子力発電所と一般建築物の揺れの差


    原子力発電所の安全上重要な機器・建物等は、地震による揺れが小さい堅固な地盤(岩盤)上に固定されている。一 般に、堅固な地盤(岩盤)上の地震による揺れの大きさは、表層地盤の1/2~1/3程度である。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-12】運転責任者の選任


    原子力発電所の運転責任者(当直長)は、一定年数以上の運転経験および知識・技能を有することを条件に、国が定 める基準に適合した者の中から選任することが法律で定められている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-13】実用発電用原子炉に対する規制の流れ


    原子力発電所は、計画、建設、運転および廃止措置の各段階で国の厳重な審査や検査を受け、許可・認可を得なけれ ばならない。(2016年3月14日更新)


  • 【5-2-14】発電所建設までの環境アセスメント制度


    原子力発電所の建設にあたっては環境影響評価法、発電所固有の手続きを定めた電気事業法および自治体の条例等に 基づいて、環境影響評価が行われる。その評価にあたっては、早期の段階から地元住民や関係する自治体の意見を聴 く手続きを取り入れている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-3-1】原子力発電所のトラブル件数の推移


    日本の原子力発電所のトラブル報告件数は、1981年以降、全体的には減少傾向を示している。なお、2003年10月 の原子炉等規制法の規則改正に伴い、トラブル報告基準の定量化・明確化が図られるとともに、報告基準が法令基準 に一本化された。(2017年3月21日更新)


  • 【5-3-2】トラブル発生時の対応


    原子力発電所でトラブルが発生した場合、各事業者はその旨を直ちに国に報告し、国はトラブルの発生を公表し、原 因の究明および再発防止対策の検討等が行われる。また、同様のトラブルが発生しないよう必要に応じ他の原子力発 電所へ再発防止対策が水平展開される。(2016年3月14日更新)


  • 【5-3-3】原子力発電所の設備利用率


    日本の原子力発電所は、約1年に1回の定期検査があったにもかかわらず、高い設備利用率を維持してきた。福島第一 原子力発電所の事故以降、2014年度末まで全ての原子力発電所が停止していた。(2016年3月14日更新)


  • 【5-4-1】チェルノブイリ原子力発電所の構造


    チェルノブイリの原子炉は旧ソ連が独自に開発した黒鉛減速軽水冷却沸騰水型炉(RBMK)で、日本の軽水炉とは構 造が異なっている。この原子炉は、低出力状態で自己制御性がなくなるという欠点をもっていた。また、原子炉格納 容器もなく、安全装置のインターロックも簡単に解除できる構造であった。(2016年3月14日更新)


  • 【5-4-2】チェルノブイリ原子力発電所事故の経過


    チェルノブイリ原子力発電所事故は、外部からの電力供給が停止した際に、タービン発電機の慣性回転でどの程度電 気が取り出せるかという、日本では行われない特殊な試験をしている途中で発生した。 原子炉出力が急上昇し、燃料過熱、激しい蒸気の発生、圧力管破壊から原子炉と建物の破壊に至り、大量の放射性物 質が外部放出された。(2016年3月14日更新)


  • 【5-4-3】チェルノブイリ原子力発電所事故の原因


    チェルノブイリ原子力発電所は、設計上の問題点や運転員の規則違反、運転管理上の問題が重なって発生した。これ らの問題の根底には、セイフティーカルチャー(原子力に関わるすべての個人や組織が常に安全に関する意識を最優 先して行動すべきであるとする考え方)の欠如があったと考えられている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-5-1】
    スリーマイルアイランド原子力発電所事故の概要


    1979年3月28日、アメリカのスリーマイルアイランド(TMI)原子力発電所の2号機で、設計の不備や運転員の誤判 断が重なって炉心の燃料が損傷し周辺に放射性物質を放出する事故が起きた。この事故では、格納容器の閉じ込め機 能により放射性物質の環境への大量放出には至らず、周辺の公衆が受けた放射線の被ばく量は極めて低いレベルであ った。(2016年3月14日更新)


  • 【5-6-1】美浜発電所2号機事故の概要


    1991年2月9日、美浜発電所の蒸気発生器の伝熱管の1本が破断し、原子炉が自動停止し、非常用炉心冷却系が働い た。なお、事故により放出された放射性物質の量はごくわずかであり、周辺環境への影響は認められなかった。(2016年3月14日更新)


  • 【5-6-2】美浜発電所3号機二次系配管破損事故の概要


    2004年8月9日、美浜発電所で点検が漏れていた復水配管の減肉によって配管が破損し、作業を行っていた協力会社 の5名の方が亡くなるとともに6名の方が重傷を負った。外部への放射能の影響はなかった。(2016年3月14日更新)


  • 【5-6-3】浜岡原子力発電所1号機配管破断事故の概要


    2001年11月7日、浜岡原子力発電所の高圧注入系の手動起動試験を実施したところ、流入した蒸気により余熱除去系 蒸気凝縮系配管の上部に蓄積していた水素が急速に燃焼して配管が破断した。外部への放射能の影響はなかった。(2016年3月14日更新)


  • 【5-6-4】高速増殖原型炉「もんじゅ」の
    ナトリウム漏えい事故の概要


    1995年12月8日、「もんじゅ」の試運転中、二次主冷却系配管のナトリウム温度計が破損してナトリウムが漏れ、火 災が発生した。周辺公衆および作業者への放射能の影響はなかった。温度計の破損は、ナトリウムの流体力によって さや細管部に振動が発生し、さや段付部に高サイクル疲労が生じたことが原因であった。(2016年3月14日更新)


  • 【5-6-5】高速増殖原型炉「もんじゅ」改造工事の概要


    異常の発生防止、早期検出、拡大防止を目的として、温度計の改良、ナトリウム漏えい対策の強化、蒸気発生器の安 全性向上のための工事が行われた。(2016年3月14日更新)


  • 【5-6-6】(株)ジェー・シー・オー ウラン加工工場
    臨界事故の概要


    1999年9月30日、ジェー・シー・オー ウラン加工工場において臨界事故が発生し、被ばくした作業員のうち2名の方 が亡くなった。臨界状態の継続により約20時間にわたって放射線が放出され初の住民避難が行われる等、周辺住民に も大きな混乱と不安を与える結果となった。(2016年3月14日更新)


  • 【5-7-1】国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)


    原子力発電所で発生したトラブルが安全上どのような意味をもつかを簡明に表現できる指標として、世界共通の“も のさし”がIAEAとOECD/NEAにより1992年3月に提案され、日本は1992年8月から正式運用を開始した。(2016年3月14日更新)


  • 【5-7-2】世界原子力発電事業者協会(WANO)


    WANO(World Association of Nuclear Operators)は、原子力発電の安全性、信頼性を一層向上させるため各 国の原子力発電事業者が情報交換をするネットワークとして設置されたもので、4つのセンターが設けられている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-1】国の原子力防災体制


    緊急時に備えて、平時から政府全体で原子力防災対策を推進するため、内閣に原子力防災会議が新たに常設された。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-2】緊急事態区分(3段階)の明確化


    緊急事態の初期対応段階には、情報を収集し、事態を把握するとともに、放射線防護のための避難や安定ヨウ素剤の 服用などについて準備や実施を判断する必要がある。このため、「施設敷地緊急事態」、「全面緊急事態」に加え、 新設の「警戒事態」の3つに区分し、区分ごとに事業者や国・地方公共団体の役割を整理している。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-3】原子力災害時の対策区域の拡大


    旧防災指針では、防災対策の重点区域の目安を原子力発電所の半径8~10kmにしていたが、福島第一原子力発電所 の事故と国際基準を踏まえ、その範囲を見直した。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-4】住民に対する放射線防護のイメージ


    地方公共団体が地域防災計画(原子力災害対策編)を策定する際には、PAZ(予防的防護措置を準備する区域)や UPZ(緊急時防護措置を準備する区域)をひとつの目安として、それぞれの地勢や固有の自然的、社会的周辺状況、 そして原子力発電所の特徴などを踏まえて、区域を設定することが重要である。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-5】運用上の介入レベル(OIL)と防護措置の内容


    緊急事態のうち「全面緊急事態(EAL3)」に至り、放射性物質が発電所等の外に放出された場合には、緊急時モニタ リングの結果などによって、適切な防護措置を実施する。 UPZ国内の住民が行う防護措置の判断基準として、「運用上の介入レベル(OIL)」が設定されている。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-6】政府と事業者間のネットワーク強化


    緊急事態においても、国や地方公共団体、事業者の間で円滑かつ確実な連絡、情報共有ができるよう、テレビ会議シ ステムや通信衛星による通信システムが整備された。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-7】緊急時迅速放射能影響予測
    ネットワークシステム(SPEEDI)


    緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:スピーディ)は、原子力施設から大量の放射性物質が放 出された場合や、そのおそれがあるという緊急事態に、周辺環境における放射性物質の大気中濃度、および被ばく線 量等の環境影響を、放出源情報、気象条件および地形データをもとに迅速に予測するシステムである。(2016年3月14日更新)


  • 【5-8-8】原子力損害賠償制度


    原子力発電所の事故で損害が生じた場合には、原則として原子力事業者がその全ての責任を負うことになっており、 原子力事業者は法律に基づき保険会社と損害賠償契約を結んでいる。賠償責任の額が賠償措置額を超え、かつ、原賠 法(原子力損害の賠償に関する法律)の目的を達成するために必要があると認めるときには、国会の議決により国の 援助が行われる。(2016年3月14日更新)


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