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原子力発電所では、どんなテロ対策をしているの?


ニュースがわかるトピックス

2016年5月24日


原子力規制委員会の新規制基準では、テロなどにより航空機が原子力発電所の敷地内に落下し、爆発的な火災が発生した場合を想定して原子炉への影響を評価することや、中央制御室などの重要施設がテロで破壊された等で原子炉を冷やせなくなり炉心損傷が発生した場合に備える「特定重大事故等対処施設」を設置することなどを求めています。


これに加えて、原子力発電所では、海水冷却ポンプなど屋外にある重要な設備に強固な障壁を設け、その周囲にフェンスなどの柵や侵入検知器を設置する対策や、重要な区域での常時監視として一人での立ち入りを禁止する対策などのほか、作業員の身元を確認する制度の詳細も検討されています。また、福島第一原子力発電所の事故を教訓に、非常用の電源設備や冷却設備を互いに離れた別の場所に分散して配置しています。このこともテロによる安全設備の一斉破壊を防ぐことにつながります。


警察も、銃器や防弾仕様の警備車を備えた部隊によって原子力施設を24時間体制で警戒し、万一テロが起こった場合には、高度な制圧能力をもつ特殊部隊を投入できる体制を整えています。そのほか、海上保安庁でもアメリカでの同時多発テロ以降、全国17か所すべての原子力発電所を対象に巡視船を配備して警備を実施しています。日頃からの緊密な連携に加えて、テロ発生時に的確に対応できるよう、警察や海上保安庁、自衛隊等の関係機関では共同訓練も行っています。


原子力施設を狙うテロの防止とともに、核物質を使うテロの防止も国際的に重要な課題となっています。今年4月1日に50か国以上の首脳級が参加して開かれた「核保安サミット」では、核物質がテロリストに渡らないよう国際社会が管理を強化するという共同宣言が採択され、テロリストに関する情報の共有を進めるなどの行動計画が示されました。また、4月8日には、152か国で結んでいる「核物質防護条約」を改正することが決まり、5月8日に発効しました。この改正によって締約国には、国内の核物質や原子力関連施設をテロリストなどから防護する対策をとることが義務づけられるほか、核物質を許可なく運ぶことが禁止されるようになりました。


参考:ここが知りたい!新規制基準Q&A「特定重大事故等対処施設」は、どんなもの?


特定重大

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